有効性の高い「帯状疱疹」ワクチン。接種時期、選び方、助成金について。


山田:「帯状疱疹」の予防には、非常に有効な予防接種があります。最近使用されている「シングリックス」という不活化ワクチンは、非常に有効性が高く、発症予防効果は90%以上と言われています。50歳以上を対象にした試験では、97%という報告もあり、ほぼパーフェクトに近い有効性を発揮するんですよね。

編集:私が住んでいる自治体のホームページを見ると、「帯状疱疹」予防のワクチンには2つの選択肢がありました。生ワクチンではなく、不活化ワクチンである「シングリックス」を選んだ方が良さそうですね。

山田:そうですね。そして、こちらのワクチンでは、仮に「帯状疱疹」を発症したとしても、先ほどご説明した「帯状疱疹後神経痛(PHN)」を予防する効果も非常に高く、85%を超えると言われています。

編集:それは、かなり期待できますね! 50歳を過ぎたら、ワクチン接種をすることを覚えておきたいです。

山田:こちらの「シングリックス」、2回接種が必要なのですが、2回接種した後は、10年以上経っても80%を超える有効性が報告されているんです。

編集:すごいですね! ただ、値段が少し高いかな……と感じました。半額助成されるとしても、1回 11000円なんですよね。

山田:そうですね。値段が高いのが、このワクチンの問題点かもしれません。こちらアメリカでも、2回接種をすると、約400ドルの請求が来てしまいます。ただ、アメリカの場合は65歳以上の方は無料になりましたし、日本では自治体によって助成金が出ます。ぜひ、お住いの自治体のホームページで確認してみてください。

しかし、3分の1の確率で「帯状疱疹」を発症し、2週間ほど仕事を休まざるを得なくなったり、その後も神経痛に悩まされるとしたら、実は安い買い物、という考え方もできるかもしれませんね。

また、ほとんどの場合短期間に留まりますが、接種部位の痛みや発熱の副反応が出ることもあるので覚えておいて下さい。

編集:今日は、実は多くの方に身近な「帯状疱疹」の症状や予防について、しっかりと学ぶことができました。50歳を過ぎたら、ワクチン接種を忘れずに受けたいと思います。本日もありがとうございました!

 

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写真/Shutterstock
構成/新里百合子

 


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