主婦の「頭のネジが外れ始めた」理由


「あるとき夫のパソコンを借りたら、スマホと同期されたんでしょうね。いかがわしい写真が何枚も出てきました。また浮気するだろうと思ってたし、すでに話した通り、嫉妬とか悲しいという気持ちはありません。むしろ、夫が家にいても役立たずでイライラするだけなのでどうでもいいんですが、こちらは色々と苦労してるのに、彼だけ人生を楽しんでる様子はシャクでした。

なので浮気の証拠になりそうなものは色々集めてるんです。いつかのために。LINEのスクショや写真、相手のSNSやGoogle マップの履歴とか、いろいろ」

携帯電話をチェックしているのかと聞くと、静香さんはクスクス笑います。

「iPhoneをばっちり見てますよ。お風呂やトイレにも用心深く持ち込んでますけど、夫は寝たら絶対起きないので。暗証番号も笑っちゃうくらい簡単にわかりました。義母の誕生日だったんです」 

正直なところ、夫の浮気に無関心というのは妻の強がりではないかと少し疑っていましたが、心の底からおかしそうに笑う静香さんを見ていると、本当に気持ちは一切ないようです。

 

「でも、そんな夫を見ていたら、私ももう少し人生楽しんだ方がいいんじゃないか? と思えてきたんです。それで、昔からの仲良しで、同じくママになった女友達の誘いに乗ってみました」

 

誘いというのは、「合コン」でした。昔から器用に遊んでいる友人は一定数いたけれど、静香さんは基本的に夜遊び・火遊びに興味はなく、自分とは違う人種が楽しむ世界だと思っていました。

しかし結果的に、その「遊び」を、静香さんは想定外に楽しんでしまったのです。

「今さら男の人なんて……と、正直最初は見下すような気持ちで参加しました。そもそも人妻と飲み会なんかする男の人って、どんな変態なんだろう。みたいな。でも、わりと素敵なレストランの個室にいたのは、思ったより感じのいい男の人たちでした」

見た目も悪くなく、仕事もきちんとしていて、話も面白い。そうした男性とは独身時代にも多く出会ってきた静香さんですが、彼らが違うのは、女性の扱いにとことん慣れており、何より軽薄さを隠さないところでした。

「どんなに好みで条件が良くても、独身の頃はチャラそうな人や結婚願望のなさそうな人は絶対に近づかなかった。でも、そんなの結婚後の私に必要ないので。その時、また気づいたんです。値踏み抜きで男の人と会話するのって、ものすごく久しぶりだし、何よりすごく楽しいなって」

そうして静香さんは「息抜き」と称して、男性のいる場所に月に1、2度遊びに行くようになりました。その間、娘さんは主にシッター、夫やお母様に頼んでいたと言います。「友達と遊びいく」と嘘ではない事実を伝えれば、特に問題はなかったそう。

「ちょっとおかしいのかもしれませんが、罪悪感や後めたい気持ちは全く感じませんでした。そもそも月に数時間程度、自由な時間を楽しむのが悪いこととも思えません。主婦生活はこれまで通りしっかりやっていました。午前中だけ娘を幼稚園に預けて、午後は習い事の送迎。その他も娘につきっきり。

誰も褒めてくれないし評価もしてくれなかったので、たまに男の人にチヤホヤしてもらったら単純に楽しかったし、どんよりした気持ちが少し晴れました。まあ言い換えれば、頭のネジが外れ始めたんです」

そうこうするうちに、静香さんは年下の独身男性と恋愛関係になりました。