オーガニック食品の、あまり意識されていない側面


山田:たとえば、オーガニック食品に直接使用するのは堆肥など自然由来のものであって、化学薬品は使用されません。けれど、食物の栽培に必要な水、もしくは雨に、工場などからの排出ガスが溶け込んでいるかもしれません。その場合、農薬を使用していてもいなくても、環境汚染の影響を受けている可能性もあります。

また、オーガニック食品では、薬品を使用せずに害虫の影響を受けないよう、品種改良を続けています。その結果、むしろオーガニック栽培で育てられた農作物こそ、天然の毒素の合成量が多くなることを示唆する研究報告もあります。

 

編集:そうなのですね! たしかに、「虫が食べない」と聞くと、少しイメージが変わるかもしれません。

山田:農薬を使って栽培された食品を特別に応援しているわけではありませんが、そもそも健康への悪影響が明らかになっている農薬の使用自体、時間とともに制限されてきています。さらに、食べる前に洗う、皮をむく、調理をする過程で、実際に体の中に摂取される量というのは、食品が暴露(ばくろ)している量よりも、少なくなります。

こうしたことをふまえると、オーガニック食品とそうでない食品の差は想像以上に小さいと言えるのではないでしょうか。

編集:なるほど……。ちなみに、「オーガニック食品の方が健康によい」と裏付けるような研究は、存在するのでしょうか?

山田:オーガニック食品だけを食べているグループと、そうでないグループの健康リスクを比較する、というタイプの試験は実施が難しいのですが、アンケートをベースとした研究がいくつか行われていますので、ご紹介しますね。