人工甘味料「アスパルテーム」に発がんリスクの恐れ?


山田:実は先日、世界で最も普及している人工甘味料の1つである「アスパルテーム」が、世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)によって、7月に初めて「ヒトに対する発がん性を持つ可能性」のリストに掲載されるということが明らかになった、という報道がありました。

編集:「アスパルテーム」は、よく食品成分表で見かけます。発がんの可能性まであるなんて……。私も普通に「アスパルテーム」が含まれた飲み物を飲んでいたので少しショッキングですが、このニュースは、どのようにとらえたらよいでしょうか?

山田:突然このニュースを聞くと、「今まで摂取してしまっていた」とか、がんを発病された時に「人工甘味料のせいかもしれない」と考えてしまうかもしれませんが、少し冷静にとらえていただくといいかな、と思います。というのも、あくまで発がんの「可能性」です。動物実験レベルで、発がんとの関連が知られてきている、ということでリストに追加されることになった......というところだと思うんですよね。

編集:なるほど。

山田:ですが、他にも身近な食品を見渡してみてください。たとえば、ソーセージ・ハム・ベーコンなどの加工肉は、より確実に発がん性があるとリストアップされています。加工肉だけではなく、牛肉や豚肉なども、今回の人工甘味料よりも高い位置付けで、発がんリスクのある可能性が高い食べ物としてよく知られていますよね。そう考えると、人工甘味料ばかり悪者にするのは、バランスが悪いかもしれませんね。

編集:そうですよね……。こうしたニュースのとらえ方を教えていただいて、少し冷静になれました。今回の一連のニュースは少しショックですが、人工甘味料ばかりを悪者にするというよりは、あらためてバランスのとれた食事を心がけよう、という気づきになりました! 
本日もありがとうございました!

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写真/Shutterstock
構成/新里百合子

 


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