頑なに子どもを信頼しない高学歴な母親たち

外来の思者さんや、アクシスの会員さんたちとそれぞれの子育てを共有するなかで、私が躊躇なく娘にやらせていることをお母さんたちが一切させないことに気づきました。私のところにやって来る親御さんは高学歴の方が多いのですが、大学教員で医師でもある私自身も、世の中では高学歴と言われる部類なので様子は理解できました。

 

たとえば、小学3~4年生の中学年くらいになっても、自宅の鍵を預けてかぎっ子にさせることができません。私は低学年でもトライしてほしいところですが、理由を尋ねると「だって、なくされたら困るじゃないですか」と言います。「いやいや、なくすかもしれないけれど、なくしたら本人がこれはヤバイことをしたぞと次から気をつけるよ。それでなくさなければ自信になるし、それが親子の信頼もつくるんじゃないの?」

そう私が力説しても、「いいえ。この子は絶対なくすと思う。そんなことしたらうちの家に泥棒に入られて大変なことになります」とお母さんは頑なです。もう少しハードルを下げて「一緒に電車に乗るときは切符を持たせようよ」と信頼を増やす場を持ち掛けましたが、どの方もやはり「なくしたら困る」の大合唱でした。