家族との時間を“娘”として満喫


——お父様は“息子”ではない“娘”に慣れてきましたか?

望海 宝塚に入る前から、そんなに女の子っぽいタイプではなかったので、そんなには変わらないかもしれませんが、今は会うたびに「髪の毛が伸びたね」とちょっとした変化に気付いてくれるようになりました。

——お母様とのショッピングタイムも、現役時代と今ではやはり違いますか。

望海 元々母もわりとボーイッシュでパンツスタイルが多いですし、シックな色を好むので私が着られなくなったものは全部母に渡しているんです(笑)。以前は「これは仕事に使える!」という服をバッと買っていたので、それに付き合わせても何にも楽しくなかっただろうと思うのですが、今はふたりでゆっくり「これ、似合うんじゃない?」と言いながら一緒に選ぶのは楽しいですね。

 

頑張れたのは、父の言葉と母のサポートのおかげ

 

——宝塚時代には、ご家族とお仕事の話をしたり、悩みを相談したりはされたのでしょうか。

望海 仕事についてはあまり話さなかったです。相談もしませんでした。家族は味方でいてくれるからすごく寄り添ってくれるとは思うのですが、当時は「自分を高められる厳しい場所」に身を置いておきたいという気持ちが強かったんです。

家族に会うときは、その優しさに甘える部分がありつつ、全部甘え切ってしまうと戻れなくなっちゃうかもしれないって……。昔、一度だけ父が「いつでも帰ってきていいんだよ」と言ってくれたことがあって。その言葉があるからこそ、「今は絶対に帰らないでおこう」と思った時期もありました。

働く父を小さい頃からずっと見ていたので、自分が実際に劇団に入って働き始めたとき、父の大変さや、頑張って家族のために働いてくれていたことが手に取るように理解できたんです。一方で母は、(当時住んでいた)宝塚に来たらご飯をつくってくれたり、新人公演など大変なときはずっと自宅に泊まり込んでご飯を用意してくれたり、洗濯をしてくれたり……。本当にありがたかったです。まあ、今もそれは変わらないのですが(笑)。

——今はご家族とそう遠くないところに住んでいらっしゃるんですよね。

望海 はい。だからたまに来てくれるんです。うちに帰ると家がキレイになっていて、ご飯が出来てますね(笑)。本当にありがたいことです。

——お母様の愛!! 素敵なサポーターですね!

望海 近くにいるからこそ、いつでも駆けつけて何かする、というのは、本当に母が頑張ってくれているからです。ずっとサポートしてくれているんですよね。