短い時間でうまくパターンを仕上げる方法をいつも考えている

――最近の服のシルエットで何か傾向はありますか。

リサさん:傾向としてはオーバーサイズです。体のラインを拾うぴったりしたものよりも、 大きめでざっくりとした、もうサイズフリーのようなものが多いと思います。ボトムスも丈が長め、パンツもフルレングスで、しっかり足首のところまであるような丈です。

パンツに関してはどの身長の人に合わせるかっていう話があるのですが、万人に受ける丈というのが実はあります。それは、「身長158cmの人が引きずってしまわないような丈」です。背の高い方には少々我慢していただくみたいな状態になるのですが。ブランドさんによってはパンツの丈を2サイズ作る場合もありますが、多くは158cmが標準的な日本人女性の身長として設定されています。

――オーバーサイズが断然多いと思うんですけれど、トップスでは少しずつ着丈の短いものも出てきているのかなっていう感じがします。着丈の短いトップスやアウターというのは今後、主流にはならないのでしょうか。

リサさん:着丈の短いものも出てきていますが、極端に短いトップスは今は出ていないですね。腰の上あたりの、62、3cmくらいの程よい感じのショート丈ですね。デニムジャケットなどは別ですけれども、カーディガンなどはあまり短いものは出ていないですね。

――「秋冬のトレンドコートはローブコート」とポストされていましたが、やはりローブコートは今年は多く出ているのでしょうか。


リサさん:コートの定番としては、トレンチやテーラードもずっと出ていますが、そんな中、ローブコートは今は流行りだと思います。昔からある形ですが、今年は多くのブランドさんでローブコートを結構出していますね。

 

――ローブコートのように羽織るアウターとして、ジレ、特にロング丈のジレも最近出ていますよね。

リサさん:そうですね、ジレはここ2、3年、ずっと出ていますね。 ぱっと羽織れて、さまになるのと、体をスッキリ見せる効果がありますね。着丈の短いベストよりも、ちょっと長めのジレでテーラードやノーカラーの襟だと、ほっそり見える効果があるので、高めの年代層の方に好まれていますね。

――日々感じることとして「日本人は流行に弱い」という激安服に関するポストがありました。そういった総合アパレル専門商社で働く中で思うことがあれば教えていただきたいです。


リサさん:一番最短のゴールを見つけることをいつも意識しています。私のいる会社は結構多くの数を手掛けていて、OEM(他社のブランドで製品を製造すること)で企画から入ります。その時、一番最初のとっかかりとなるデザインは私が携わっていて、それを委託しているお客様に提案して、進めていきます。その日々で思うのは、時間との戦いだなということです。パターンにこだわっているとどんどん時間が経っちゃうので、短い時間でうまくパターンを仕上げる方法みたいなのを気にしながらやっていますね。

――時間が限られた中でも、絶対に省略しないっていうポイントはありますか。

リサさん:妥協しないところは、一番初めに作る、ファーストサンプルのパターンですね。最初にできあがったサンプルの縫製やシルエットなどがちょっとチープな感じだったりとかすると、もう絶対にお客様に受けないんです。なのでそこは納得できるまで作り込んでいます。そこがしっかりできればどんどん発展していくので、一番気を付けてるところが、最初のサンプル作りです。

あとは、工場の方と歩み寄って、いいものができるように話し合うことは日々面白いなと思っています。工場の方から「これ縫いにくいんだけど」みたいな意見がよく来るんですね。そこで、こちらから「絶対こうしてください」と返すのではなく、お互いが歩み寄っていいものを作るために話し合いたいと思っているんです。

アパレル業界って、自分の自己主張が強すぎて「これはこうじゃないとダメ」という一点張りの方って結構いらっしゃるんですよ。でも私はそうではなくて、どうしてできないのかを説明して欲しいし、どうしたら縫製がもっと綺麗になるのか、どうすればやりやすいのか、といった相談はどんどんしてくださいみたいな感じでやっています。そうすることで、意外と工場の方とwinwinな関係でいいものが出来上がったりします。そういうやり取りは面白いと思っています。


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服のデザインとパターンを手がけるリサさんならではの、豊富なファッションの知識と雑学が学べるポストは、見ていると手持ちの服の縫製やパターンをチェックしたくなりますよ!

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次回の「SNSで見つけた『バズり人』さん」もお楽しみに!
 


写真/Shutterstock
構成・文/大槻由実子
編集/坂口彩

 

 

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