同調圧力をなくすために「居心地のよさ」より必要なもの

 

羽生:『多様性の科学』では、宗教も国籍も年齢も言語もバラバラのメンバーで構成されたチームと、同じような属性を持つメンバーで構成されたグループに、同じ条件で難しい推理ゲームをやらせたんですね。すると、多様性のあるチームの方が、同一属性のチームよりもパフォーマンスが高いという結果が出た。

 

羽生:ここまでは「なるほど」なんですけど、まだ続きがあって。それぞれのチームに「来週も同じ実験をするとしたら、今日のメンバーとまたやりたいですか?」と聞くと、結果を出した多様性のあるチームは「もう嫌だ!とても不愉快だった」と反応。でも、負けた同一属性のチームは「来週も同じメンバーでやりたい」と言ったそうなんです。

川良:居心地が悪いけどハイパフォーマンスな集団になるか、居心地はいいけどずっと停滞している集団がいいか——ということですよね。

 

羽生:グローバルな人材を採用する企業では、喧嘩にならないようしっかり言語化するのはもちろん、違う意見を表明するときの伝え方、会議に使うフレーズ集、みたいなものも作られているみたいです。

川良:なるほど、議論のメソッドがあるんですね。私たちはそうしたことを学んできていませんが、「私の考えは少し違って」と口に出すためにもっと練習しないと。

羽生:いいフレーズですよね。私も空気を読まず、同調圧力に屈さず、でも相手のことは尊重しながら、「私の考えは少し違って」と言えるようになりたいですね。

 


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撮影/小野さやか
イラスト/Shutterstock
取材・文/ヒオカ
構成/金澤英恵