彼と再婚したのは5年前で、すっかり心を開いた猫たちと一緒に暮らしていましたが、一方で、寿命を迎えた猫たちを看取ることもありました。ある日、だいずの予防接種のために動物病院に行ったら、あるおじさんが交通事故に遭った子猫を運んできました。病院としては、飼い主のいない野良猫を診察することはできず、おじさんも怪我をしているから連れてきたものの、自分が飼うつもりも、お金を払うつもりもなかったため、受付で押し問答をしはじめたのです。その様子を見ていた私は、いてもたってもいられなくなって、「私がお金を払うので診てください」と申し出てしまいました。これが、いまうちにいるおこめです。

里子に出すつもりが、奈津さんの家の子になったおこめ

この時、瀕死の子猫を無視できなかったのには理由があります。私が20代の頃、ある金曜の夜に、公園で猫を一匹見かけました。少し離れた場所に大人猫がいたので親猫かと思い、そのまま通り過ぎてしまったのです。でも、月曜に気になってその公園に行ったところ、その猫が亡くなっていました。私は「どうしてあの時保護してやらなかったのか!」と激しい後悔に見舞われました。

 

動物病院に行く前日の夜、私はある夢を見ました。私は夢の中で、保護してやれなかった猫に、「助けてあげられなくてごめんね」「今度は絶対に拾ってあげるからうちにおいで」と話しかけていました。するとそこに、かつて心臓病で亡くなってしまった十兵衛ぼんが現れ、「今度は絶対に助けてあげてね、約束だよ」と私に言ってきたのです。

そんな夢を見た翌日に、目の前に瀕死の子猫が担ぎ込まれたのですから、これは私がなんとかするしかないと思うでしょう! もしだめだったとしても最期だけでも看取ってやるつもりが、足を1本失ったものの一命をとりとめ、元気に回復してくれました。

交通事故に遭ったものの、元気に回復したおこめ

おこめがうちに来た時は、まだ約1.5ヶ月の子猫。うちには10歳越えのシニア猫たちがたくさんいたのですが、末っ子気質で甘えん坊のおこめはなじんでいきました。その数カ月後、新たに2匹の猫がうちに来ることになるのです。

実は、前夫がガンで他界してしまい、離婚時に夫が引き取って最期まで一緒に暮らしていた寧々とごま美を私が迎え入れることにしたからです。