前夫と離婚してから7年が過ぎ、今の夫と再婚したのが5年前のこと。前夫とは猫の近況報告を続けてきました。そんなある時、前夫から「ガンになった。もうだめかもしれない」という知らせを受けました。お互いに何かあったら、猫の世話をするという話はしていたので、前夫亡き後、寧々とごま美を引き取ることにしたのです。

寧々(左)とごま美(右)。真ん中にいるのは前夫が引き取って見送った角之進

今から3年前に寧々とごま美を受け入れた時、ごま美の兄に当たるチャイ氏や、だいずがまだ健在でした。この猫たちは私が離婚前は一緒に住んでいたものの、もう何年も離れて暮らしているのだから、さすがに覚えているわけがないと思っていました。でも、猫たちはどうやら覚えていたようで、当時と同じようにすぐ溶け込んでいきました。一方、新参者のおこめは驚いていたようです。おこめにしてみれば、見知らぬおばあさん猫が2匹やってきたのに、なぜか一緒に暮らす先住猫とは妙に仲良しなのだから無理もありません。

左からちっち、だいず、きんた。同じキジトラ柄でも個性が出ている。

その後、チャイ氏やだいずもこの世を去り、今、一緒に暮らしているのは、寧々とごま美、おこめの3匹になりました。私も50代になり、昔みたいに猫を拾ったり、野良猫を受け入れたりするのは難しいと感じていて、おこめが最後と思っています。夫は「奈津が飼いたかったら飼えばいい」と言ってくれます。彼は15歳年下なので、「いざとなったら僕が世話をする」というのは心強いのですが、今はここにいる3匹を最期まで見送ることだけを考えています。

寧々以外はみんな虹の橋を渡っていった

今までたくさんの猫たちを迎え入れ、看取ってきました。あの時もっとこうすればよかった、あんなことしなければよかったと後悔することもたくさんあります。亡くなった時は本当に悲しいです。でも、私は「看取れる幸せ」があると思っています。最期まで一緒にいてあげることができてよかった。元夫がガンで猫たちを遺して亡くなったことを思うと、元夫はどんなにか心配だっただろうと思うのです。

寧々は18歳、ごま美はいま17歳で、20歳前後まで頑張ってくれた歴代猫がたくさんいます。でも、いつも思うのは、猫は年を取れば取るほどかわいいということ。お年寄り猫のかわいらしさは格別! 「これからずっと一緒にいようね」とうちの子にしたのですから、看取ることでその子との約束を果たせたことになります。これはすごくよろこばしいことなのです。


文・編集/吉川明子
 

 

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