10月13日のラグビーワールドカップ2019プールA第4戦で、日本代表は28-21でスコットランドに勝利。史上初となるベスト8進出を決めた。 写真:AP/アフロ

ラグビーのワールドカップでは、日本代表が初のベスト8進出を果たすなど、すばらしい成績を残しました。日本代表チームは、外国出身者を含む多国籍な構成ですが、「ワンチーム」のスローガンのもと見事なチームワークを発揮したといってよいでしょう。日本人は異なる国籍や文化の人とチームを組むことが苦手と言われていますが、ラグビー日本代表の成果は、今後のよいお手本となるはずです。

 

 
ラクビーはもともとあまり国籍にこだわらない文化であることから、代表選手の条件も緩く、国籍がなければ代表になれないというルールにはなっていません。このため、日本代表チームには、様々な言語や文化的背景を持つ人が集まってきました(日本人選手16人と外国出身選手15人)。

多様性のあるチーム構成にすれば、国籍に関係なく優秀な選手を集めることができますから、チームの基礎力を上げることができます。一方で、いわゆる「あうん」の呼吸は通用しませんから、チームのマネジメントが極めて重要な意味を持ってくることになります。

日本人は多様性のあるチームで活動することが苦手とされてきましたが、日本代表チームは、文化や言語の壁を超え、ひとつのチームとして完璧にまとまっていました。今回の例を見ても分かるように、日本人だけが多様性のある社会を構築できないわけではありません。

では、異なる文化的背景を持つ人をうまくまとめ上げるにはどうすればよいのでしょうか。ヒントとなるのは目的合理性です。

ラグビーの場合は、基本的にスポーツですから、やはり試合に勝利することが最終目的といってよいでしょう。目的に沿って皆が合理的に行動するよう方向づけるのがリーダーの役割であり、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は見事にその役割を果たしました。代表チーム内では対話や議論が重視されたことで、選手だけのミーティングも増え、選手の自主性とチームワークがみるみる高まっていったそうです。

この話はそのまま企業にもあてはまります。

日本人が多国籍な企業社会でうまく立ち回ることができない理由のひとつに英語力があると考える人は多いのですが、それは正しい理解とはいえません。なぜなら、近年、成長が著しい東南アジア地域では、メチャクチャな英語でビジネスを精力的に進めるビジネスパーソンがたくさんいるからです。

 
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