日曜日って聞くだけで、ちょっとわくわくした気持ちになりませんか? 土日が休みとは限らないし、仕事が休みでも、たまった家事でそれどころではないという人もいるとは思います。でも、子どもの頃は「日曜=休み」だったはずで、楽しみにしていた気持ちが今も記憶の片隅に残っているのではないかと思うのです。「モーニング・ツー」で連載されていたオノ・ナツメさんの『ハヴ・ア・グレイト・サンデー』は、成熟した大人たちの楽しい日曜日だけを描いた作品。8月20日に最終巻の4巻が発売されたばかりで、週末の読書におすすめの物語です。

長らくニューヨークに暮らし、45歳という遅咲きデビューの人気作家・楽々居輪治(ささいりんじ)が『ハヴ・ア・グレイト・サンデー』の中心人物。東京で一軒家に暮らしていた父が他界したことから、その家で暮らすことになりました。東京滞在中は妻と離れ離れで寂しい生活かと思いきや、実はその逆。

輪治には息子のマックスと娘のレイチェルがいて、そのどちらもが仕事の都合で東京暮らし。マックスと、レイチェルの夫・ヤスが輪治(=ダッド)を慕って毎週日曜日に家に遊びに来るようになったのです。

もういい大人で家庭も持っているのに、毎週日曜日に父親(ヤスにとっては義父)に会いに行くってどういうこと? って思いそうですが、物腰が柔らかいけどクール、博学でちょっとした言葉にもセンスが光り、さらには大人の色気まで漂う輪治がものすごく魅力的! マックスとヤスが毎週会いに行きたくなるのも無理はありません。のびのびとまっすぐに育ったマックスは、すでに立派な一児の父なのに、輪治の前では小さな子どものよう。明るくて素直で、いつも楽しそうにしっぽを振る大型犬のような愛らしさがあります。日系とイタリア系ハーフのアメリカ人であるヤスは、どことなく雰囲気が輪治に似ています。寡黙なヤスは、輪治とマックス親子のやりとりを眺めているのが楽しくて、ついついマックスと一緒に遊びに行ってしまうのかもしれません。

この物語で描かれるのは毎週日曜日だけ。エッグベネディクトを作り、縁側でビールを飲みながら遅めの朝食を食べる。新しい冷蔵庫を買いに家電量販店に行く。家で輪治が作ったカレーを食べる。六義園の紅葉ライトアップを見に行く。などなどと、基本的には家でのんびり過ごして会話を楽しみ、時々おでかけ。たまにマックスの妻・ベリンダと息子・ルーカス、レイチェルがご飯を食べに来たり、年末年始にニューヨークから輪治の妻が遊びに来たりと、いつもより大勢が集まってにぎやかになることもあります。それにしても、仕事のことなど忘れて、大好きな家族と過ごす休日の尊いことよ……。

 

父が日本人のマックス、日系のルーツがあるヤスにとって、夏に食べるそうめんや墓参り、梅酒づくり、みんなで囲む鍋などといった、日本人にとって馴染み深い日常の出来事は、異文化であると同時に、どこか懐かしさも感じているようです。それをいつも温かな眼差しで見守っている輪治にとって、二人の新鮮な反応や楽しそうにしている姿はいつまでも見ていたい情景なのかもしれません。

どこまでも幸せな大人の休日よ! 日曜日になったらマグカップにたっぷりのコーヒーを注いで、この単行本を手にとって、彼らの豊かな休日を垣間見てみて!
 

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『ハヴ・ア・グレイト・サンデー』

オノ・ナツメ (著)  講談社

小説家・楽々居輪治(ささいりんじ)。長くニューヨークで暮らしていたが、ある事情で単身、東京に戻ってきた。きままな独り暮らしのはずが、日本に暮らす息子のマックスと娘婿のヤスは、輪治を慕って毎週末は入り浸り。男三人は、いつも「最高の休日」を夢見る。