ちょうど似たようなタイトルの大塚玲子さん著『ルポ 定形外家族 わたしの家は「ふつう」じゃない』も合わせて読みましたが、医療技術が複雑化し、家族のカタチも非常に多様になっている中で、法律や制度も見直すべきことが多いことに改めて気付かされます。

とりわけ、どのような家族に産まれるかを「選べない」立場にある子どもたちが、自らの出自を知る権利や、親から離れることを選べる権利を整備すること、そして、学校等が特定の家族の在り方を前提にしすぎた行事や学びの進め方をしないこと、家族の経済状態がどうであれ子どもたちの生活が保証されることは必要だと思いました。

 

でも、そこさえ担保されれば、「家族」や「結婚」というものはもっとフレキシブルでいいはず、とも感じるのです。『ふつうの家族にさようなら』の後半では、山口さんがハーバード・ロー・スクールで師事したジャネット・ハリー教授が打ち出した「点滅する結婚」という概念が出てきます。

 

法律婚、事実婚、パートナーシップなど様々な選択肢がある中で、たとえばある場面では「妻」とみなされる女性が、別の場面ではみなされない場合がある。結婚している状態というのは常にスイッチが入りっぱなしか、消えっぱなしかのどちらかではなく、オンになったりオフになったりする。このようなことを説明する概念のようです。

もともとのハリー教授の用法とは少し違うかもしれませんが、人生のあるタイミングでは家族を「している」必要性があっても、その形にずっととらわれる必要はないし、ましてや、これまで考えられてきた「ふつう」にとらわれる必要はない。

最近は芸能人の離婚でも仲良く並んで報告をする事例、男親が親権を取る事例、離婚してからも仕事上のパートナーではあり続ける夫婦など、様々なケースが報道されています。女性の経済的自立も背景に様々な選択肢が増えていくことは、ある特定のカタチで我慢を強いられるよりずっと前向きな動きだと私は思います。

前回記事「結婚に焦る女性たちの「家庭=安全保障材」という潜在意識」はこちら>>


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