終身雇用神話が崩壊し、「人生100年時代」に突入したといわれる昨今。現役引退後も活き活きと働ける「セカンドキャリア」を構築する重要性が叫ばれるようになりましたが、定年後に新しい仕事を見つけてそこからスタートするのは至難の業。特に、未経験分野でのキャリア構築を考えているなら、40~50代のうちから少しずつ準備しておくのが賢明ではないでしょうか。

このように、そろそろセカンドキャリアの準備をと考えている現役世代におすすめしたいのが、人材育成の専門家でキャリア関連の著書を多く手掛ける前川孝雄さんによる『50歳からの人生が変わる痛快! 「学び」戦略』です。本書はセカンドキャリアの見つけ方や築き方を指南する内容ではあるものの、タイトルには「仕事探し」「キャリア構築」ではなく「学び」という言葉を使っています。

果たしてその真意はどこにあるのか? 気になる中身を見ていきましょう。

 


「自己分析」「自分探し」の本を読んでもやりたい仕事は見つからない


巷には「やりたい仕事の見つけ方」、ひいては自己分析、自分探しの本が溢れています。でも、こうした本に載っているフレームワークと格闘し続けても、おそらく第二の職業人生における天職、やりたい仕事は見つかりません。もちろん、もやもやしている自分の頭が整理された気にはなるかもしれません。しかし、果たして自分が本当にやりたい仕事は何なのか、その仕事が自分に本当に向いているかどうかは、机上で自問自答を続けているだけではわからないのです。むしろ、自分探しの迷路に入り込んでしまうリスクすらあると私は考えています。

 

「学び」を重ねるなかで、「やりたいこと」は見えてくる


そこで私がおすすめするのは、「学び」を通して会社の外の世界に一歩出てみることです。自分が心から興味や関心を持てること、夢中になれること、自分を活かせることの答えは、自分自身の中にあります。これは「本当の自分」を知るプロセスに他なりません。

興味を惹かれるテーマに関して学ぶのであれば、極端な話、「本を1冊読んでみる」という始め方もできます。「学び」は大して時間も費用もかけることなく、とりあえずの一歩を踏み出すことができるのです。

失敗するリスクや余計な負担感をできるだけ抑えて気軽に始められるのが「学び」のいいところです。そして、そんな「学び」を重ねるなかで、自分を知り、視野を広げることによって、今まで見えていなかった「やりたいこと」、ひいては「天職」に出会うことができます。