そして今回のライブはいつもとちょっと違って、楽しみだけど観るのが何だか怖い気持ちもあったんです。それは、去年12月に、皆さんもご存知の悲しい事件が起きたから。あの出来事のあとにステージに立つ聖子ちゃん、一体どんな感じなんだろうなって。

 

ステージに現れた聖子ちゃんはいつも通りのキラキラオーラ全開で私たちは一瞬にして聖子ちゃんワールドに引き込まれ、そんな杞憂は消えたのです。だけど最初のヒット曲メドレーが落ち着いたあと、黒いドレスを纏って登場した彼女が歌ったのは、娘・神田沙也加さんの曲でした。歌い終わってから、沙也加さんへの想いを語ってくれた聖子ちゃん。本当はそんなこと、話さなくたっていいのに。

だけど「プロのアイドル」としての立場、そして沙也加さんへの想い、心配しているファンたちへの感謝を伝えるために、あえてライブの途中でそのことに対する気持ちに触れた。このときの公演は追加公演のファイナル前日ということで、そこまで走り抜けてきた聖子ちゃんは応援してくれたファンたちに支えられてここまで来られたことに感無量で涙していました。それを観た私たちも、涙、涙……。いいんだよ聖子ちゃん、そんなこと話してくれなくても。あなたのステージを観れば、あなたがどんな想いで私たちの前に立ってくれているのかわかるから。――そんな気持ちと、こんなに辛いことがあったのに歌うことをやめない聖子ちゃんの強さに、感動して胸がいっぱいになってしまったのです。

来ているファンたちはほとんどが50代以上。私も含めて、みんなここまで、人生いろんなことがあったと思います。現在進行形でしんどいことだってきっとあると思う。だけど聖子ちゃんがそのしんどさを乗り越えて相変わらずのプロ意識で素晴らしいライブパフォーマンスを見せてくれたことで、あの場にいた全員が「私もがんばろう」って勇気をもらったんじゃないかな。私はそうでした。

そのMCが終わると、アコースティックコーナーでは会場のファンたちが掲げるリクエスト曲を一小節ずつ即興で歌ってくれるという、何とも贅沢な時間も。これまで出したアルバムは93枚、1135曲の楽曲を歌ってきた聖子ちゃん。レコーディングのときの1度しか歌ったことのない曲も結構あるようで、リクエストされた歌を「ちょっと歌ってみてもらえますか?」と、ファンに逆リクエストする場面が多発していたのが面白かったです。ファンにとっては長年大好きで思い入れのある聖子ちゃんソングを、聖子ちゃん本人が覚えてないなんてこともあるのね。

そんなわけで、今回も行って本当によかった聖子ちゃん武道館ライブ。年末のクリスマス・ディナーショーもチケットが取りたい! と、目論んでいるところです。生涯「松田聖子」であり続ける、聖子ちゃん伝説、これからも見続けていたい!

 

 


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