【実践編】「落ち着けない」問題を克服する3つの方法


ここからは、落ち着けない子どもへの対処法を紹介していきたいと思います。普段の生活にひと手間加えるだけですので、発達障害のお子さんがいらっしゃったらぜひ実践してみてください。

①時間を「見える化」する

 

「時間は目に見えないので、彼らには理解が難しく、だからいっそう、『苦痛な今』から逃れようとしたり、『今の楽しいこと』にとらわれたりします。見えにくい時間を上のような手段で可視化すると、見通しが立って『今』に対処する意欲が少しは維持されやすくなり、次の行動への切り替えが容易になるかもしれません」

 

②さりげなく「体幹」を鍛える

バランスボールはさまざまなサイズがありますが、座ったとき子どもの足の裏がしっかり床につく大きさのものを選んでください。

「バランスボールを椅子がわりに使ってみましょう。バランスボールに座ると、ぐらつく体を支えるため体幹の筋肉(腹筋、背筋、骨盤底筋など)が自然と働き、鍛えられていきます。すると顔があがって姿勢がよくなり、視点が安定するのです。この結果、必要なところに意識を向け続けやすくなるため、注意散漫な状態を改善できる場合があります」

③具体的な言葉で伝える

 

「『しばらく待ってて』『ここらへんにいて』のような表現は曖昧で、彼らにはうまく理解してもらえません。代わりにたとえば、『5分、この座布団の上にいる』などと客観的、具体的な表現にしてみましょう。子どもに察してもらうのではなく、明確な表現で伝えるようにするわけです」

ここまで読むと、子どもが発達障害だからといって必要以上に力むことも落胆することもないことが分かると思います。本書にはこのほかにも「『やりたい』と思ったら止められない」「集団行動ができない」など、発達障害のお子さんの行動に関する心理分析や対処法が載っていますので、気になる方はぜひ手に取ってみてください!


著者プロフィール
かなしろにゃんこ。さん

千葉県生まれ、漫画家。1996年に「なかよし」でデビュー。作品に『漫画家ママのうちの子はADHD』『うちの子はADHD 反抗期で超たいへん!』(ともに田中康雄監修)、『発達障害 うちの子、人づきあい だいじょーぶ!?』(以上、講談社)、『発達障害でもピアノが弾けますか?』(中嶋恵美子原作、ヤマハミュージックメディア)などがある。発達が気になる子どもの親向けポータルサイト「LITALICO発達ナビ」でコラムを好評連載中。


監修・解説者プロフィール
前川あさ美(まえかわ あさみ)さん

東京女子大学教授(現代教養学部心理・コミュニケーション学科心理学専攻)、公認心理師、臨床心理士。東京大学教育学部を卒業後、同大学大学院に進学。途中、米国アイオワ大学大学院に留学し、帰国後、東京大学大学院教育学研究科教育心理学専攻博士後期課程単位取得退学。大学の心理臨床センターや株式会社BONS東京カウンセリングサービス(東京都)で臨床にも携わる。『「心の声」を聴いてみよう! 発達障害の子どもと親の心が軽くなる本』(講談社)など著書多数。

 

『発達障害 「できないこと」には理由がある!』
著者:かなしろにゃんこ。 講談社 1540円(税込)

発達障害 僕にはイラつく理由がある!』『発達障害で問題児 でも働けるのは理由がある!』に続くシリーズ第3弾。「集団行動ができない」「危険な遊びがやめられない」「運動や細かい作業ができない」といった発達障害の人の独特な行動パターンついて、当事者とその母親それぞれの視点を交えながらユーモラスに描写します。さらに、その行動が起こってしまう原因と対処法を専門家が分かりやすく解説。マンガもふんだんに盛り込まれているため、楽しみながら発達障害への理解を深めることができるでしょう。


マンガ・イラスト/かなしろにゃんこ。
構成/さくま健太