パリに移住した当初フランス人によく聞かれたのが、「ロンドンとパリではどっちがいい?」と言う質問。「パリの方が美味しいから、パリがいい」というと、皆が鼻を膨らませて「当たり前でしょ、そんなこと」と自慢気に言うのが面白かったのですが、ユーロスターに乗れば2時間半で着く隣国と、こんなにも食へのこだわりが違うのだなあ〜と。

 

そしてマルシェに通い慣れて来ると今度は、旬にしか出回らない食材が多数あることに気がつきました。春なら、行者にんにく(フランス語ではL’ail d’ours、“クマのにんにく”と呼ばれるのが面白い)や山菜みたいな味のアスパラソバージュ(野生のアスパラという名前だけれどまったくアスパラとは関係ない)、蕾が小さくて生でも食べられるアーティチョーク。

こちらがアスパラソバージュ。アスパラガス嫌いな私は、最初まったく興味がなかったのですが、ある時どうしても食べなくてはいけない場面があり。恐る恐る食べたら……あれ? 美味しい! あとから、アスパラガスとは違う植物だと知って納得。ちょっと粘りがある、山菜のような味です。

夏は、花のついたズッキーニや、酸っぱい味が楽しいオゼイユ(日本でいうスイバ)、安くて美味しいメロンや平たい桃。冬になると、牡蠣やトピナンブール(菊芋のこと)、青々としたクレソン、オーブンで焼いてトロトロのところを頂くモンドールチーズなどが出てきます。

冬のチーズの王様、モンドール。このまま食べてももちろん美味しいですが、上部をカットし、白ワインやにんにくを入れてオーブンで焼くのが絶品!