ダイエット＝食べない、と考えがちですが、「40代以降の“食べないダイエット”は危険です」と警鐘をならす管理栄養士の岸村康代さん。
「“食べないダイエット”は短期間でやせるには効果的ですが、40代以降は貧血など体調をくずす可能性が高くなります。そして体重は落ちてもやつれてしまい、一気に老けて見えることも。それだけでなく代謝が落ちて、逆に太りやすい体質になってしまうのです」

そういう岸村さんは20代のときに“食べないダイエット”と“リバウンド”を繰り返し、すっかり太ってしまった経験の持ち主。その後、栄養学を学び、バランスよくきちんと食べることで15kgのダイエットに成功しました。

そこで豊富な経験と知識をもつ岸村さんが、“食べるダイエット”に役立つ食材をピックアップ。“やせる栄養素”の秘密や、ダイエット効果をさらに上げるレシピを6回に渡ってお届けします。今回は“やせる栄養素”たんぱく質を豊富に含む「豚もも肉」です。

豚肉はたんぱく質の宝庫！　でも部位によっては栄養に大差が…　

近年、サラダ専門店が充実し、特にダイエットをしている女性のなかではサラダ中心の食事を心がけている人も多いようです。「それではたんぱく質不足になってしまい、結果的にやせにくい体になってしまいます」と岸村さん。
「たんぱく質は私たちの体のもととなる栄養素。不足することで筋肉が落ちてしまい、その結果基礎代謝が下がります。リバウンドしやすく、少し食べただけでも太りやすくなってしまう“省エネ”モードの体になってしまうのです。特にミモレ世代以降は、筋肉が落ちることによって足腰が弱くなる危険性も…」

そこで積極的に食べたいのが「豚肉」です。
「豚肉はたんぱく質もしっかりとれますが、エネルギー代謝過程に欠かせない補酵素の役割を担うビタミンB群が豊富。食材の中でもトップクラスの含有量を誇ります。ダイエット中に不足しがちな鉄などのミネラルも含む優秀な食材です」
「ただ…」と続ける岸村さん。「豚肉をひとくくりにはしないでください。というのも、例えばバラ肉とヒレ肉では、たんぱく質と脂質の割合が真逆なほどの差があるからです」

両者の100ｇあたりを比較した場合、バラ肉はたんぱく質が14.4ｇに対し脂質は35.4ｇ、ヒレ肉はたんぱく質が22.2ｇ、脂質が3.7ｇとまるで内容が異なります。
「たんぱく質やビタミンＢ群をとろうとバラ肉をせっせと食べている方がたまにいらっしゃいますが、脂質のとりすぎに。胃腸にも負担がかかり、動脈硬化や逆に肥満を引き起こすことも…」

そこでおすすめしたいのが、「豚もも肉」。
「最も高タンパク低脂質の部位はヒレですが、食べやすさと価格を考えると『豚もも肉』が日常的に取り入れやすいでしょう」
ちなみに豚もも肉100ｇあたりのたんぱく質は20.5ｇ、脂質は10.2ｇになります。

いっしょに食べたいのは「ビタミンC」食材

「豚もも肉といっしょにとってほしいのが、ビタミンCや食物繊維が豊富な野菜です。豚肉は栄養が豊富ですが、食物繊維とビタミンCはほとんど含みません。たんぱく質はビタミンCといっしょにとることでコラーゲンの生成にも一役買います」
おすすめはブロッコリーやキャベツなど。若々しいハリのある肌をキープするためにも、意識してとりましょう。

岸村さんおすすめ！　「豚もも肉」の“食べやせ”レシピ

「豚もも肉は、脂質を含むほかの部位と比べて少し硬いのですが、下処利をすればすごくしっとりに。ひと手間かけて召し上がってください」

“やせる栄養素”たんぱく質をとるためにお肉を食べることは大切ですが、部位が肝心ということがわかりました。豚肉以外でも脂身の少ない肉を選んで、良質なたんぱく質を補うようにしましょう。

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