ポスト『進撃の巨人』の注目作!

『菌と鉄』(1) (講談社コミックス)

2021年に完結した『進撃の巨人』は、アニメ化が追い風となり、世界中に熱狂的なファンをもたらすほどの名作になりました。そんな中、最近、ポスト『進撃の巨人』と話題になっているのが、『菌と鉄』です。

 

本作の舞台は、「アミガサ」という名の世界政府によって人類が支配された、徹底的な管理社会。ダンテという青年は、エリアと呼ばれる高い塀に囲まれて兵士として養成されてきました。彼は首に狼のような痣を持ち、字を正しく認識できない失読症という症状を抱えていました。

周りの兵士たちは日々の訓練に淡々と取り組み、いわば洗脳された状態でしたが、ダンテだけは文字が読めないことが幸いしてか、洗脳されずに自分の思考を持ち合わせていました。しかし、そのせいで完全に周囲から浮いており、上官から厳罰を受ける毎日。そんなある日、特殊任務で塀の外に出たダンテは、この世界ではキノコ類が食物連鎖の頂点にあり、ありとあらゆるものがキノコ類に埋め尽くされているという現実を目の当たりします。

 

人類がキノコに支配された近未来の話と聞くと、何のことだかよくわからないと思う人がいるかもしれません。しかし、菌類は実際に2億年前から地球上に存在しており、まだまだ謎の多い生物でもあります。世界中に菌糸を張り巡らせて、ありとあらゆるものを支配下に置いているという本書の設定を荒唐無稽だと笑い飛ばすことはできません。その妙に説得力のある設定をベースに、ダンテをはじめとしたレジスタンスたちが自由を求めて行動していくさまは、手に汗握るものがあります。現在、単行本3巻まで発売中で、一気読みしたくなること間違いなし!

菌類に支配された世界で、君にまた会いたい。『菌と鉄』ディストピア的世界観は「進撃」の系譜>>