経験したことがない未知のことは怖い。でも“これしかできない”という壁を作りたくない


――40代から50代へと階段を登っていくと、見えてくるものが違うんじゃないかと思います。ミモレの読者もちょうどシルビアさんと同じような年代なので、50代に向けてご自身が考えていることを教えていただけますか?

シルビア:怖いのはホルモンバランスの変化。変化がない人もいると思いますが、自分はどうなんだろうって……。自分が経験したことがない未知のことに対しての恐れはあります。でも基本的には“今の自分をいかに受け入れて楽しめるか”と思いたいタイプなので、そうやって生きていきたいと思っています。

 

――作品選びに関しても変わることはなさそうですか?

シルビア:そうですね。というか、今まで本当に最初にオファーがあったものから順に全部OKしてきたので、実はそんなに選んでいなくて。

ラッキーだったかもしれませんね。たまたま『レベッカ』のダンヴァース夫人の役や『日本の歴史』のような作品のオファーがあったり、『ジュリアス・シーザー』のシーザーのように男性の役もすることができたり……。オファーがあった瞬間に「よっしゃ! 面白そう!」と思えるものが多かったんです。ただ、1年に6本の舞台をやっていた時期もあり、本番やりながら次のお稽古というパターンが続いたのですが、それはそろそろ控えて、ゆったり構えようかなって思っています。

昔は、ひとつインパクトの強い役をやったら似たような役が続くことがありましたが、ふと全然違う角度の役のオファーが来たりするんです。「お、そっちが来たか。じゃ、そっちに行ってみよう」と興味をそそられることが多いですね。多分、好奇心が強いんだと思います。それと、“これしかできない”という壁を作りたくない。「何事もやってみないと分からないじゃん」という精神はずっと持っています。

 

――そういう意思をずっと持ち続けていられるのは本当に素敵です。

シルビア:やってみてダメだったらごめんなさいって思うけど(笑)、でも一旦オファーを受けたからには、周囲には絶対にそう思わせたくないという矜持はあります。究極の負けず嫌い。子どもの頃からそうだった気がします。