血ノリを用いたシーンでNGを出すと拭いて撮り直すのは本当に大変で……何日も撮影をしたことを覚えています


――作品中、血しぶきが多用されています。血ノリを用いた撮影で、何か苦労したことはありましたか?
 

僕が劇中で最初に悪事を働くシーンありますよね。そこでは本当にたくさんの血が飛び散りますが、NGになると大変なことになるんですね。またセットを組み直さなければならないし、衣装も洗わなければならないし、飛び散った血ノリも拭かなければならない。ただ、それは一つの部屋での撮影だったのでまだマシでした。
 
廊下での撮影はもっと大変でした。廊下は距離が長いので、一度血ノリをまいてNGを出すと、拭いて撮り直すのは本当に大変で……。何日も撮影をしたことを覚えています。僕としてはそんなふうにお膳立てしてもらったところに行けばいいのですが、監督さんやスタッフさんは、もっと苦労していましたね。

 

――対照的なキャラクターを演じたチャン・ドンユンさんと共演していかがでしたか。

劇中では非常に寡黙な役でしたよね。ところが実際は僕以上に活発で、そして話し好きなんです。撮影中もすごく楽しかったです。かわいい弟ができた気がして。トロント国際映画祭にも一緒に行って、すごく楽しかったです。本当に性格がいい、弟のような存在だと思っています。

 

――俳優さんの中には演じているうちに、自分の中に自分でも気づかなかった面を見つけて驚く方もいます。今回こういう残酷な役をやってみて、知らなかった自分を再発見することはありましたか。

僕にもこんな表情ができるんだと思ったことがありました。あとは、どん底の人生も表現できるんだと気づき、気分が良かったのを覚えています。とにかく楽しかったですね。

また、体を作って体重を増やし、タトゥーを入れた姿を見て、こういった姿もけっこう似合うんだなと思いました。今回の経験を次に生かしたいと思いました。

© LADSTUDIO KIMTAEKOO

――俳優として今までのイメージをガラッと変えるのは、一つの大きな醍醐味だと思います。悪役に挑戦してこれまでとは違う姿を見せたことに、やはり手ごたえを感じたのでしょうか。

やはりその点が一番大きかったですね。以前からやってみたいと思っていたのが悪役でしたし、なかでもとても特別な悪役を演じることができ、「ついにやった」という手応えを感じることができました。また別の悪役にも挑んでみたいという気持ちになりました。

――今年で日本デビュー10年目を迎えます。俳優としての活躍はもちろん、オーディション番組「スーパースターK」出身でアーティストとしての活動もされていますが、10年後、ソ・イングクさんはどんな俳優・アーティストでありたいと思っていますか。

10年後も、今の僕とあまり変わっていないのではないかと思います。演技もして、音楽もやって。ただ、きっと今と違うのは、もっと多くのノウハウをもち、演技力が深くなっていること。そうしたものをお見せできるようになっているのではないかと考えています。


【写真】ソ・イングクさん主演『オオカミ狩り』名場面&撮り下ろしポートレート!
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<映画情報>
『オオカミ狩り』

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2023年4月7日(金)新宿バルト9ほか全国公開中

フィリピンに逃亡した極悪犯罪者たちと護送官の刑事を乗せた貨物船“フロンティア・タイタン号”。 太平洋のど真ん中に浮かぶ監獄は、犯罪者たちの反乱により血で海を染める。そして、“怪人”が目覚めたとき船上は地獄と化す。果たして、生き残るのは……。

配給:クロックワークス 
監督・脚本: キム・ホンソン
出演:ソ・イングク、チャン・ドンユン、ソン・ドンイル、パク・ホサン、チョン・ソミン、コ・チャンソク、チャン・ヨンナム、チェ・グィファ
公式HP:https://klockworx-asia.com/pwh/


撮影/Kim TaeKoo
取材・文/桑畑優香
構成/露木桃子