どこかで誰かが言っていた「年金は踏み倒すもの」は大嘘だった

 

障害年金と聞くと、元々障害がある方のもの、というイメージを持つかもしれません。しかし、実際は今健康な人も含め、全ての人が利用するかもしれない制度です。身体障害だけではなく、精神障害も対象です。例えばうつ病になり、それが長く続いて働くことや日常生活に支障が出る、なんていうことは誰にでも起こり得ることです。また、事故や病気もどれだけ気を付けても、どれだけ若くても、ある日突然やってくるものです。

 

実を言うと、筆者も20代前半の時、失業後に国民年金の未納期間がありました。その時は免除申請できることを知らず、日本年金機構からの電話にも出ませんでした。出たら「今すぐ支払え!」と催促されると思い、怖くて出られなかったのです。送られてくる郵便物も開封出来ませんでした。しかし、しばらく経ってから開けると、免除申請の案内でした。なんであの時、公的機関にまずは相談しなかったんだろう、ととても後悔しています。怖かったからと後回しにし続けた結果です。その後、遡って無事に納付しました。

冒頭でも触れましたが、筆者はこれまで、冗談か本気かはわかりませんが「年金は踏み倒すものだ」と言っている人に会ったことがあります。未納期間があるという人もいました。

老後のことだけを考えれば、確かに資産形成などでコツコツ貯めるなど、やり方はいくつもあるでしょう。しかし障害年金だけは別です。さらに、支払わずに放置することは、未納による財産差し押さえという大きなリスクもあります。

 

未納していてもなんともない、生活できているという人は実際にいるとは思います。しかし、それはあくまで結果論。これまで“たまたま”無事だったに過ぎませんし、今後も大丈夫とは限らないのです。「払わなくても大丈夫」を鵜呑みにするのはあまりに危険です。

実際、このことを知らずに未納を続けた結果、障害年金を受給できなかったという人もいます。その後の人生を左右しかねない非常に大きな問題です。

筆者は別に、日本年金機構の回し者でも何でもないですが、誰も教えてくれないけれど、調べれば調べるほど知らないと恐ろしいことになるのだと感じました。

何かがあってからでは取り返しがつかない、それが障害年金です。
「年金は踏み倒すものだ」は大嘘です。
 


※本記事の情報は令和5年5月11日時点のものです。
※障害年金の支給要件には様々な条件があり、手続きが複雑なため、政府広報オンラインでは日本年金機構の「ねんきんダイヤル」への問い合わせや、年金事務所や街角の年金相談センターへの事前相談を推奨しています。

【記事監修】社会保険労務士 小泉事務所 代表・特定社会保険労務士 小泉正典さん

 

写真/Shutterstock
文/ヒオカ
構成/金澤英恵

 

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