妊娠中に赤ちゃんの重度障害が判明し、「生まれても助からないかもしれない」と医師に告げられながらも、出産する選択肢しかなかった知里さん(32歳・仮名)。出産後、悩んだ末に延命措置を決断しましたが、その後待っていたのは子育てというよりも膨大な知識と体力を要する医療介護の日々でした。

24時間体制で我が子の命と向き合い、2時間以上連続で眠ることもできなかったという知里さんですが、そんな中、なんと夫の浮気が判明したのです。

 

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取材者プロフィール知里さん(仮名)32歳
職業:会社経営 
家族構成:7歳の息子


      
 


重度障害の我が子との生活中、夫に異変が...


生まれつき骨が育たないという500万人に1人の難病を持つ真斗くんの子育てはほとんど医療介護で、わずかな体調変化はもちろん、医療器具の管理なども知里さんが全てする必要がありました。

「今思い出しても、あの頃は本当にしんどかったです。私は息子につきっきりの専業主婦で、それ以外の選択肢はありませんでした。少しの体調変化が命に関わるので、睡眠時間がとれないなどの体力面だけでなく、精神面も常に緊張していました。ほとんど外出もできず、3年くらいはスーパーへの買い物くらいしか外には出ませんでした」

油断できない日々の中、知里さんは全てを真斗くんに注いでいました。少しでも身体に良いものをと素材にこだわった手作りの離乳食を胃ろうから与え、呼吸器の音などに寝ている間も注意を払い、まとまった睡眠どころか、熟睡することもほぼできなかったと言います。

乳児が風邪をひいただけでも、数日眠ることができず看病に疲弊し、体力・精神的に追い詰められる親の話はよく耳にします。比較することではないかもしれませんが、普通では想像ができないほど壮絶な日々だったと思います。

「自分でも本当によく乗り越えたと思うほど大変な時期でしたが、毎日が大変すぎて、悩んだり悲観したりする暇も余裕もなかったという感じです。

そんな状態ですから、夫のこともまったく構っていませんでした。でもあるとき『何かがおかしい』と思ったんです。不自然に帰りが遅くなることがたびたびあり、様子もよそよそしい。夫を観察するうち、これは確実に怪しいと思い『スマホを見せて』と単刀直入に言いました」