「親の介護」といっても、色々なケースがあります。特に「どんな関係か」によっても、随分変わってくるものでしょう。
個人的には、「娘が父親の介護をする」のは、「息子が介護する」のとも、また「母親を介護する」のとも違うところがあると感じています。どんなところに違いがあるのかを、紹介します。

 
 

娘の前ではかっこよくいたい父


私の父は70代後半で、ひとり暮らしをしています。軽度の認知症で、「要支援2」だと認定されています。
人それぞれ性格や人生の美学は違うので、あくまでもこれは「私の父の場合」に過ぎないのですが、父はとにかく娘の前では「かっこよくいたい」と思っているタイプ。だから、私もプライドを傷つけないように気を付けています。

 

介護をし始めの頃、父が一番、私に隠したがったのが、「下着」のこと。だんだん防水性の高い下着では、対応できなくなってしまっていました(はじめは、防水性能パンツを穿いていることすら、隠していました)。

老化と共にトイレのコントロールができなくなることは仕方のないことなのですが、やはりいくつになっても、羞恥心はあるもの。
でも、私もいつまでも見て見ぬふりをするわけにもいかないので「父が何を恐れているのか」を考えた上で、“ある行動”をしました。
思い切って、私のほうで“下着のような感覚で穿ける、うす型おむつ”を購入し、「今度から、これを穿いてほしい」と渡したのです。

結局、父が恐れていたのは、「老いた自分を、娘に幻滅されること」。だから、私は「おむつを穿くのは恥ずかしいことではなく、年齢的に当然のことなのだ」という態度をとるようにしたのです。

その効果があったのか、父親は安堵したように、その後はそれを穿いてくれるようになりました。ただし、「おむつ」という言葉を使うと嫌がるので、今でも「パンツ」と呼んでいます(笑)。

父の尊厳を保ちながら介護をすることの難しさ


もしかしたら、娘ではなく、妻や息子に介護してもらう場合は、父ももう少し弱った姿を見せやすいところはあるのかもしれません。
私自身、「父の尊厳を保ちながら、どう介護していくのか」を模索中です。場合によっては、父の老化に「気づかないフリ」をする必要があることもありますしね。

ただ、だんだん気づかないフリをしていてはスムーズにいかないことが増えてきたので、今は、「どんなにかっこ悪い姿でも、受け止めますよ」というスタンスを見せるようにしています。そうすることで、父親も安心して身を任せるようにはなってきたように感じます。

 

実は、父が娘の前で「かっこよくいたい性格」だからこそ、私自身、それまで父の老化に気づけなかったところがあります。それについては、次のページで紹介します。

次ページ▶︎ 「老化の発見」が遅れた理由

【漫画】高齢の父が「恐れていたこと」
▼右にスワイプしてください▼