社員の意識を変えた「幸せシフト」

 

ポーラの「幸せシフト」から始まった変化は、すでにいくつもあります。
私が肌で感じているのは、社員の意識の変化です。数年前までは社員にアンケート調査を行うたびに、「自分の意志」の希薄さを感じました。「会社の方針が分からないと決められません」「自分のやりたいことは? と言われてもよく分かりません」……そんな言葉に正直がっかりしたものです。

ところがここにきて「私はこうする」「私はこう考える」という、「私」が主語の回答が増えてきました。社員からの事業改善提案が2020年からの2年で3倍近く増えたこと、四半期に一度行う事業報告・経営メッセージ会の配信動画を社員のほぼ全員が見るようになったことなど、企業風土の変化の兆しをあちこちで感じます。

社員の意識が変わりつつあることは、意識調査(「働きがい」に関する世界的な調査期間「働きがいのある会社研究所(GPTW)」)の結果からも分かります。私はこれを社員の幸福実感を測る指標の一つとして重視しているのですが、2020年のコロナ禍以降、目に見えて改善しています。

2022年と2020年の数字を比較すると、「この会社には特別に認められる機会が誰にでもある」が+13ポイント、「上司は部下の意見やアイデアに傾ける」が+5ポイント、「私は社会課題解決のためになんらかの行動をおこしている」が+10ポイントで、軒並み上がっていました。

 


社員が変われば、業績にもつながる

さらに、自らの個性を生かしながらチーム力を向上させる人材育成プログラムに自ら手を挙げて参加する社員の人数は、2018年の79人から2022年には753人と10倍近く増えました。幸せ研究所をはじめ、社会に目を向けた活動が評価されていることで、会社と社員が変化していることを感じます。

幸せ経営についてアイデアを語り始めたころ、「それって業績につながるの?」「今優先すべきことですか?」という意見もいただきました。

社員の意識が変われば、当然、仕事への取り組み方が変わります。時間はかかっても、それが業績につながるのは自然なことではないでしょうか。