Q.海外のドラマや映画を見ていると熟年夫婦でも自然にセックスをしているのに、日本だと中高年の私が「性欲がある」と言うだけで引かれてしまいます。これって変じゃないですか?  

A.欧米ではセックスしている中高年が多数派ですが、日本ではマイノリティだからでしょう。

 

アメリカでは、健康であれば60代で85%、80歳でも50%のカップルがセックスをしています。また、イギリスの調査では閉経後の女性の9割以上が「積極的な性生活が重要」と回答しています。つまり欧米では中高年になってもセックスをしている人のほうが多数派であり、男女の関係を築く上での重要な要素であるということです。

しかし、日本では中高年以降の夫婦はセックスしない方が多数派です。セクシャルアクティビティの高い側はマイノリティなので、そういう反応をされてしまうのでしょう。しかし、あなたに性欲があるというのはまったく変なことではありません。次の質問の回答でもお話ししますが、とてもよいことだと思いますよ。

 

Q.セックスレス大国なのに、日本の女性は世界一長寿です。つまり、長生きとセックスは無関係なのでしょうか?  

A.たしかに日本人女性は長寿ですが、「健康寿命」との差はあまり縮まっていません。そこにセクシュアリティの問題があると感じています。


確かに、日本人女性の平均寿命は世界一ですが、生活の質は70歳後半から急速に低下していきます。多くの女性が足腰やひざの痛みのために動けなくなり、人生を楽しむことができなくなってしまうのです。「実際の寿命」と「健康寿命」の間には約12年ほどの差があり、なかなか埋まっていません。そこにセクシュアリティの問題があると私は考えています。

性的意欲と生きる意欲は相関しています。性的意欲とは、なにもセックスだけを指すわけではなく、「自分が親密になりたいと感じる相手に、自分を求めてもらいたい気持ち」のこと。好意を抱いた相手にどう見られるかを気にして身ぎれいにしようとする行為は、多少なりとも努力が必要で、それが自分のセクシュアリティを磨くスイッチになると思います。

これこそ女性が人生の最後まで、自立した生活を楽しむポイント。ただ長生きするためではなく、死ぬまで元気でいるためにもセクシャルアクティビティは大切なのです。