生理の不調をそのままにせず、自分に合う対策を模索しよう

更年期のメンタルダウンに備えられることはあるのでしょうか? と尋ねると、「まずは更年期を過剰に恐れすぎないでほしい」と高尾先生。

 

「更年期の不調を経験する人は、実は、約6割なんです。残りの4割は、生理期間がばらついてきたり、生理が来なくなるという生理周期の変化のみで、『私、更年期なかった!』と言えちゃう人もいるくらいなんです。

更年期の症状は色々ありますけど、生活に支障が出るくらい重い人は全体の3割くらいなんですね。なので、将来起こる更年期について過剰に不安になることはないんです」

その中で、生理やPMSが重いタイプの女性は、更年期の期間も不調を訴える人が多い傾向にあるそうです。思い当たる方は、今からできる対策を取るのが大切だと高尾先生は言います。

「それはなぜかというと、生理がある時期と更年期というのは、女性の身体にとって完全にシームレスだからです。閉経も、生理が来なくなって12ヵ月後に初めてわかることですよね。つまり生理がある期間の不調と更年期の不調はそれぞれ別のものではなく、女性ホルモンの乱れからくる不調ということでつながっているので、生理にともなう不調の解決策はそのまま更年期にも使えることになります。

解決方法としては、漢方やピルを摂取するなどの方法があります。もしその治療が身体に合っていて、生理の不調を軽減できている人は、それは更年期の不調にも同じく効く可能性が期待できます。ピルは、順調に経過していれば50歳の1ヵ月前まで服用することができますし、その後はホルモン補充療法(HRT)に切り替えればよいのです。

産後の不調にしても同じことが言えます。産後うつを経験した人は更年期うつにも要注意です。期間限定の不調だから……と思っている人は一定数いると思いますが、女性ホルモンの減少による不調という点で更年期にも同じことが起こる可能性が高いのです。

今困っていることがあるとしたら、それを放っておかない考えを持ってもらいたいと思います。若いころから、自分の生理と向き合いホルモンバランスの不調に対してきちんと向き合い、自分に合ったきちんとした対策方法をあらかじめ考えておくことは、メンタルケアとして、とても大事なことだと思います」

自分の身体の状態を知り、その対策を取ることが更年期の自分を守る解決策のひとつなのではないかと高尾先生。