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【小林麻美】メイクも香りも決めつけない。ときには「ノーメイク」を選び取る

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「最小にして最大の効果」と話題のメイクアップ、それが、メイクアップアーティスト・水野未和子さんが提案する「ディファインメイク」。その人の骨格やパーツの形、肌の色などを生かし、その人の魅力を見つめ、深め、高める。外見だけでなく、内面の本質さえも「唯一無二の魅力」としてメイクで掘り起こし、際立たせるメソッドは、ひとりひとりが自分の顔をもっと好きになるきっかけを生みます。

そしてその応用編にあたるのが「インテンスメイク」。メイクされる本人さえもまだ出合ったことのない顔を引き出し、その人の魅力をさらに引き上げるメイクは、新たな可能性を広げてくれます。

そこで、ディファインメイク・インテンスメイクの「真髄」を知る連載企画。今回登場するのは、小林麻美さん。2つのメイクを終え、改めてメイクを全て脱いだときにそこにあったのは、メイクをしていたときと変わらない「麻美さんらしさ」でした。

タンクトップ¥7150/ハイク(ボウルズ) ジャケット/サンローラン(スタイリスト私物) ブラックデニム/本人私物


経験則で導き出す「もっと先」が、積み重なった人


「見ないで!」でも「見て!」でもなく、ただただニュートラルな状態でそこにいる……。
メイクを脱いだ麻美さんは、メイクをしているときと同じ佇まいでした。

「何でもないタンクトップにデニム、そしてジャケットを着た私が、いちばん私らしいかな、と思って。ノーメイクであることもまた、私らしい気がして、特に意識することはありませんでしたね」(麻美さん)

じつは、メイクを脱いだ顔を撮影するにあたり、服を3パターン、トライ。
より「画(え)」を通して、私たちが伝えたいことがひとりひとりの心に届くようにと、麻美さん自らの提案によってディスカッションが始まり、全員一致でこのコーディネイトに決定したのでした。

「モノクロームのポートレイトだから、ベルベットの質感が綺麗に映るかな? と思ったんです。ただ、写真が好きだから。それはもう、経験則でしかないんだけど。結果、自分らしくいられて、よかった」(麻美さん)

ディファインメイク、インテンスメイクを施した麻美さん

 


ノーメイクという選択肢を持つ、格好よさ


年齢に抗うのでなく、ごまかしたり隠したりするのでなく、「ありたい自分」「なりたい自分」へと日々積み重ねるからこそ生まれる、透明感と存在感。
大人の本質的な美しさを見せつけられた思いがします。

「ディファインメイクもインテンスメイクも、メイクを脱いだ顔も、さほど印象が変わらない。ある意味、予想どおりでした。なぜなら、それこそが私が思う『麻美さん』だから。メイクが必要ないからしないのではなく、気分によって『今日はノーメイクというメイクをして出かけよう』という選択肢を持っている人、という感じがするんです。この圧倒的な格好よさを見て、さらに強くそう思いました」(水野さん)

麻美さん、改めて、メイクの意味ってなんでしょう?

「今は、男性もメイクを楽しむ時代だけれど、でもやっぱりお化粧をするっていうことは、私にとっては、自分が女であることを意識できる、大きな要素。誰かによく思われたいからというよりも、自分の気持ちがちょっとだけ上がる。女の特権だなあ、と思います。私ね、香水も大好きで、出かけるときには欠かさないんですね。たとえば、ドレスで女っぽくしたいときには、ユニセックスの香りをつけたり、メンズライクな着こなしのときは、あえて女性らしい香りを選んだり。今日はこういう自分でいたい、という気持ちに、香りってすごく大切だと思っているんです。メイクも、私にとっては同じ。ファンデーションを薄く塗って肌を整えるだけの日もあれば、それ以外をそぎ落として赤のリップだけを塗る日もある。眉を強く描いたら、リップは薄くするとか、フルでメイクをしたときには、服の着こなしで軽さを出すとか。どこかをがんばったら、どこかを抜く……、自分の中にある『勘』みたいなものかもしれません」(麻美さん)

「麻美さんにお目にかかって、『好き』を掘り下げることの格好よさに改めて気づかされました。自分らしく年齢を重ねるって、本当に素敵ですね」(水野さん)

「私、最近、フランス語のセミナーに通い始めたんです。その楽しさを知ったら、昔していた日舞もまた踊りたい、とか、ピアノもまた弾きたいとか、いろいろ始めたくなって……。『習う』『学ぶ』ということが楽しいんです」(麻美さん)

自分の「今」と「未来」にわくわくすることが、輝きを生む。
それこそが、今、麻美さんに学びたいこと……!

<麻美さん>トップス¥53900〈参考価格〉、スカート¥66000〈参考価格〉/共にヴィヴィビー(イーストランド)
<水野さん>衣装は全て本人私物

 

MIWAKO’S MESSAGE


「いくつになっても何をしてもすべてが自然。常に小林麻美なのだ」。こんなコメントをたくさんいただきました。私が言うのもおこがましいけれど、改めて、年齢は記号に過ぎないと思い知りました。麻美さんは潔く、年齢をまったく隠さない。本当の意味で、年齢は記号なんだと、堂々と言える人なんじゃないかと思います。メイクをしていなくても、そして、メイクをするほどに彼女らしさが出る人。そう。何をしてもどこにいてもこの人はやっぱり小林麻美なんだと。その人自身が醸し出すファッションやメイクとの関係は、何より自然で、強く魅了されました。

水野未和子   
   


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小林麻美

1953年東京都生まれ。1972年「初恋のメロディー」で歌手デビュー後、資生堂、パルコなどのCMが話題に。1984年には松任谷由実がプロデュースした「雨音はショパンの調べ」が大ヒット。1991年、妊娠、結婚を機に引退。25年の時を経て、2016年ファッション誌「クウネル」(マガジンハウス)の表紙で復活し、話題になる。

水野未和子

メイクアップアーティスト。オレゴンに留学後、イギリスに渡り、London College of Fashionでメイクアップを学ぶ。卒業後、フリーランスのメイクアップアーティストとしてロンドンでキャリアをスタートし、帰国後は多くの雑誌、広告、CMなどを手がける。人によって違う、その人だけの魅力をディファイン(明確に)するメイクに定評があり、数々の女優やモデルが厚い信頼を寄せる。【Instagram】@mizuno.miwako

 

<書籍紹介>
『ディファインメイクで自分の顔を好きになる
“私だけの魅力”が絶対見つかる自己肯定メソッド

著 水野未和子
定価 1400円(税別)
Kindle版も配信中!
講談社

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数々のファッション誌や広告で女優やモデルのメイクを手がけているメイクアップアーティスト、水野未和子さん。水野さんのメイクの特徴は、人によって違う、その人だけの魅力をディファイン(明確に)すること。何かを隠すのではなく、誰かのようになるのではなく、「自分になる」メイクです。この本では、あらゆる年代、あらゆる属性の誰もが自分の魅力を底上げできる「ディファインメイク」の考え方と、そのメソッドを詳しく紹介します。


メイク/水野未和子(3rd)
撮影/目黒智子
モデル/小林麻美
ヘア/林カツヨシ(JILL)
スタイリング/三浦由美子(W)
取材・文/松本千登世
構成/中田絢子

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