このサービスは、今のところ米国人に限定されたものであり、日本人は利用できませんが、一連の動きは日本の金融サービスにも大きな影響を与えそうです。その理由はアップル社が日本進出を画策していることに加え、日本でも近く金利が上がる可能性が高まっているからです。

米国など各国ではiPhoneのシェアは高くありませんが、日本だけは例外で圧倒的にiPhoneのシェアが高いことで知られています。アップルは日本でも米国のような金融サービスの展開を狙っていると報道されており、近く類似のサービスを開始する可能性があります。

しかも、同じタイミングで日本の金融市場には20年以来となる大きな変化が到来しようとしています。それはほぼゼロに近かった金利がいよいよ上昇を始める可能性です。

今のところ、世界各国で日銀だけが大規模緩和策を継続中であり、日本ではお金が余った状態にあります。しかし、物価上昇が想定以上のペースで進んでいることや、日銀総裁が交代したことなどもあり、日本でもいよいよ金利の上昇が始まると予想する専門家は少なくありません。

4月14日、米ワシントンで会見する植田和男日銀総裁。写真:ロイター/アフロ

もし日本でも金利の上昇が始まり、新しい金融サービスが登場することになれば、銀行はより高い金利を提示しないと顧客を失ってしまいます。これまで日本の銀行は金利もサービスも横並びという状態でしたが、競争が一気に激化する可能性が否定できないのです。

 

これまでの時代は、量的緩和策によるカネ余りが続いたため、銀行を選別するという感覚をなくしている人が少なくありませんでした。しかし本来、銀行というのは大切なお金を預ける場所であり、安定した経営が出来ているか、十分な金利が付いているかなど、多くの点について吟味する必要があります。

時代は着実に変化しつつあり、これからの時代は銀行の経営状態や金利動向などを踏まえながら、より積極的、かつ慎重に銀行を選んでいく姿勢が必要となるかもしれません。
 

 

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