自然豊かな「場」の力に助けられた気がしました


ーー自然と人間の在り方を問うような作品ですが、撮影も自然豊かな京都府南丹市の山奥や、奈良の博物館などで行ったそうですね。

水川:京都の山奥は自然豊かな場所でしたし、奈良の博物館は、その場所自体が呼吸しているような佇まいだったので力を借りられた気がします。自然が多い場所だと、実際に自分も地球の一部になったような感覚が生まれてくるんです。「刺す女」という役のエッセンスが、自然にそこにあるものを抽出しながら出来上がっていくような感じがありました。もしも都内のマンションの一室だったり、コンクリートで囲まれた場所での撮影だったら、もっと難しかったかもしれません。

 

水川:私自身はそこまで自然豊かな場所で育ったわけではありませんが、それでもこんな場所にいると、「人間はこんな所で暮らしてきたんだ」「本来はこんな姿なのかもしれない」と。ちょっと不思議な、なにか遺伝子レベルでの懐かしさみたいなものを感じました。

 

ーー主演の竹野内豊さんのほか、山田孝之さん、アオイヤマダさんと言った共演の方々とお話しされたことはありましたか。

水川:竹野内さんとは久し振りの共演で、お互い今に至るまでの変化をお話ししたりはしましたが、お芝居や役の内容などについては特に話さなかったです。竹野内さんは女たちに翻弄される役だったので、そもそもそんな「奇妙な女たち」を理解する必要もなかったから、それで良かったと思います。

孝之とは10代からの友人ですが、改めて役に入り込むための気合い、エネルギーがすごいなと思いました。アオイヤマダちゃんとは今作で初めてお会いしましたが、食べ物の嗜好がすごく似ていて、かなり盛り上がりました(笑)。この映画はファンタジーと言えばファンタジーなのですが、現実的な部分もあって、監督がおっしゃっていたように「女たちは何を言おうとしているのか」を、ぜひ想像してみていただきたいと思います。