あら、本当に案内係だったんだ、疑って悪かったわねと安堵したものの、彼が行けといった場所を覗くと何となく違うよう。やっぱり元のタクシー乗り場に戻ろうと踵を返した瞬間、去ったはずのその“案内係”の彼がまたぬっとやってきました。
「いやいやそっちじゃないよ、こっちこっち。しょうがないな。君、混乱してるから一緒に行ってあげるよ」と、自分でできるからと遠慮する私をいいからいいからと連れて行った場所は「カスタマー・ピックアップ」という看板が立っている人気のない駐車場。
「ここで待っていれば5分でタクシーが来るから。じゃあね!」とまた去って行きました。1~2分して、こんな私しかいないところにタクシーが来るわけないなと空港へ戻ろうと歩き始めると、プップー!とクラクションを鳴らしながら猛スピードで一台の白い車が。そして、窓から男性が「TAXI! TAXI!」と顔を出して叫んでいます。
え? あれ? さっきの案内係のおにいちゃんじゃないの!
これ、間違いなく1人2役芝居の白タクじゃないの!!
「NO!NO!いらないいらない!」と首を大きく横に振りながら後ずさり、スーツケースを引っ張って脱兎のごとく逃げました。
はい、そうです。紛うことなき白タクです。危なかった~。これで荷物をトランクに載せられてしまったらもう最後。こわくて、乗り込む羽目になってしまっていたでしょう。
それからは落ち着いて(ワクワク感も遠のき)、正しいタクシー乗り場にたどり着き、イエローキャブに乗ることができました。バングラディシュ出身の運転手さんが天使に見えました。
スリや置き引き、白タクには気を付けてと、ありとあらゆるガイドブックに書いてあります。もちろん私もそれをわかっているつもりでした。強引な客引きには絶対にのらないわ、これまでもそんなことなかったし……。でもどこか高をくくっていたのでしょう。嘘をつかれる、騙されるということが“オレオレ詐欺”のように、巧妙にすぐそばに潜んでいるのをすっかり忘れていました。
今回の私の一人旅、最初の学び。
きょろきょろしないこと。
不安そうな顔をしないこと。
話しかけられてもちょっとでも怪しいと思ったら「No,Thank you」で押し通す。
疑問は、自分でインフォメーションに行って聞く。
そしてそして……
危険性のある場所でワクワクしすぎないこと! 地に足がついてない感じが付け込まれるのです。
その後、ブルックリンを案内してくれた女性(後日登場します)にその話をしたら、前回案内した人は70ドルのところを400ドル請求され、家族も一緒だったため怖くなって全額支払ったそうです。おそろしや~。
日本国総領事館のHPにもそういった危険な話はシェアされているので、ニューヨークに限らず現地で日本人があった犯罪のようなものはチェックしていくに限ります。
私はと言えば、初日にこの「白タク騙され未遂事件」ですっかり学びまして、その後の旅はメンタルも強くなって、緊張感とワクワクのバランスを保ちながらいい感じで過ごすことができました(苦笑)。
来週は、やっと、本丸に入り、「女性一人旅のホテルと食事」についてお話したいと思います。ではまた来週!
『母とヨーロッパへ行く 母+娘=100歳~の旅』
太田篤子 著 11月22日発売 講談社刊 144ページ 1400円(税別)
持って行ってよかったおすすめの持ちもの、ホテルの検索の方法、ホテルへ直接予約するときのメール例なども載っています。楽しく安全な母娘旅のためにお役立てくださいませ。
ダイジェストで試し読み!
第1回「母は旅のベストパートナー?」はこちら>>
第2回「今こそヨーロッパの田舎へ」はこちら>>
第3回「ホテル選びに最大限の情熱を!」はこちら>>
第4回「眺めのいい部屋でシャンパンを」はこちら>>
第5回「私がホテルに求めるもの」はこちら>>
第6回「母にとって、楽しかった旅の条件とは」はこちら>>
第7回「母との旅の食事問題」はこちら>>
第8回「旅のファッションについて①」はこちら>>
第9回「旅のファッションについて②」はこちら>>
第10回「旅のファッションについて③」はこちら>>
第11回「旅の交通手段について①」はこちら>>
第12回「旅の交通手段について②」はこちら>>
第13回「旅の交通手段について③」はこちら>>
第14回「お土産問題」はこちら>>
第15回「母との旅でいちばん大切なこと」はこちら>>
最終回「さて、どこへ旅しよう? ―――旅の目的地問題」はこちら>>
番外編「見映え&快適! 旅ファッション上達術」はこちら>>
番外編2「子育てを終えた母たちへ、一人旅のススメ」はこちら>>
番外編3「大人の一人旅は人生の「伏線の回収」はこちら>>
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