作家ものの器、アンティークのグラスなど、食器は凝りはじめるとキリがありません。しかし収納場所が限られていると、つい重ねたり、押し込んだり……。「お気に入りの食器ほど奥の方に閉まっていて、使う機会があまりない」「いつも重ねてしまうので、取り出し時にストレス」など悩みが付きない場所でもあります。食器棚を見直すポイントとは? スッキリした食器棚を作る整理・収納術をご紹介いたします。

 



<基本・食器の整理編>

まずは食器棚から全部出し! 「使う頻度」によって4分別する


食器を整理するための最初のステップはまず「全て出す」こと。「整理=不用意なものを取り除く」作業なので、この「全て出し」は大変重要なアクション。一度ずらりと並んだ食器を見て、「毎日使う」「たまに使う」「特別な時に使う」「使わない」など「使う頻度」で分けてみましょう。

「毎日使う」……お茶碗、お椀、取皿、大皿など、一週間に必ず使うもの
「たまに使う」……サラダボウル、グラタン皿、大皿など、献立によって時々使うもの
「使わない」……1年使わなかったもの
「特別な時に使うもの」……重箱、作家ものの大皿、ティーカップなど、季節ものや来客用のもの

 

ここでポイントなのは「たまに使う」の中に「兼用できるもの」「代替できるもの」がないかどうかを確認することです。すべての食器が余裕で入る食器棚があるなら、それに越したことはありません。しかし限られたスペースの中では、この「たまに使う」の分量が煩雑さの原因になるんです。と言っても、時どきでもまだ使っている食器を手放すのは、なかなか難しいものですよね。そんな時は一度「もしその食器が捨てられた(割れた)場合、他のものでも代替可能か(悲しくないか)」を考えて、その食器がない生活を想像してみてください。例えばスープカップは、浅いタイプのマグカップを使えば事足りることもあるし、サラダボウルも大皿で代替可能。「あった方がいい」と当たり前に思っていたものでも、意外と他のもので兼用できるものも多いので、「本当に必要かどうか」じっくり考えてみてください。
 

一度すべて出し、総量を確認することで、「持ちすぎ」「適量」などを実感できます。

熟考のうえ、「使わない」に入った食器は、リサイクルショップや寄付に。一度使用した食器はオークションなどでもすぐに売れるものではないので、いいことシップなど、食器も送れる団体に寄付がおすすめです。

1年使わなかった食器は手放すようにしています。


「アイテム」ごとに分け、「大きさ」別にまとめる


頻度別に分別したら「茶碗」「小皿」「丼」「大皿」などアイテムごとに分類。「子ども用」「お弁当用」など、使う用途が明確なものは、具体的な括りで分けてみてください。
その後、「大きさ」でグルーピングを。「大きさ」で分けることで、一緒に収納すべきものなどグループ化がしやすくなり、食器棚の配置のヒントとなります。

オーバル皿、パスタ皿、大皿など、数枚ある食器は幅と高さのスペースが必要なので、深さのある棚に収納。


<使いやすい食器の収納編>

ポイント①食器棚の「ゴールデンゾーン」に注目!


整理収納において一番使いやすい場所を、「ゴールデンゾーン」と呼びます。それの場所とはズバリ「目から腰の高さ」、つまり食器棚の中段あたりのこと。この間は、人がものを取り出しする上でもっともストレスを感じない範囲と言われています。ここには毎日使うお茶碗やお椀、平皿など「よく使うもの」を入れてみてください。「何となくサイズが合ったから」と言って、使用頻度の低いものをゴールデンゾーンに入れてしまうと、その場所の良さを上手く利用できてないことに。お箸やフォークなどカトラリー入れとして設計されている場所でも、カトラリーのスペースを減らして、残りをお茶碗入れにするなど、ゴールデンゾーンは最大限に有効活用してほしい場所。

ゴールデンゾーンはハンディゾーンとも呼ばれていて、もっとも活躍してくれる収納場所。毎日使う食器はここに入れておくと、時短にもなります。


ポイント②中段→下段→上段の順で使用頻度順に入れる


中段の次に使いやすいのは、上の段……ではなく下の段。割れやすく、重い食器などは、安全面を考えて下の段に収納する方が安心です。下の段には「たまに使う」食器を配置し、上段には「特別な時に使う」ものを収納してみてください。使用頻度ごとに場所を変えただけでも、かなり使いやすくなるかと思います。また子どもが使う食器などは、背丈に合わせて、下の方に配置すると、「コップ取って〜」の一言がなくなり、かなり楽に。
 

ポイント③見やすさ、取り出しやすさなど使い勝手抜群なのは「引き出し収納」


引き出しは上から中身全体を見下ろすことができ、奥まで手が届くという利点があります。豆皿、小皿、カトラリー、箸置きなど小さなものや安定しないものは、引き出しで収納すると、散らばらずに整理しやすい。引き出し収納は、使用頻度の高いものから「手前→奥」と並べると、使いやすい場所になります。毎朝使う「朝ごはんセット」などは、手前に置いておくと、支度の手間が省けます。引き出しが備えついてないという食器棚は、オープン棚に食事トレイを利用すると引き出しのように使えたりもしますよ。
ちなみに、引き出しは首より上にくると、見通せなく、取り出しづらいので注意。(著者はうっかり設計を間違えて、目線に引き出しを入れるという愚行を)

和食なら飯碗、汁椀、中皿、小鉢、豆皿など、洋食ならパンプレートとスープカップなど、朝食セットは同じ引き出しに収納。
カトラリーはアイテム別、色別、テイスト別など、細かく分けるほど探す手間が省けます。小分けに使用しているのは無印良品のポリプロピレン整理ボックス。箸置きを入れているのは、モロゾフのプリンの空き瓶。丈夫なので重宝しています。
食器の下に引くのはニトリのシステムキッチン用防虫シート。防虫、抗菌、滑り止めとほしい機能を満たしてくれる超優秀シートです。薄いのですが、ペラペラ動くこともなく、何度もリピしてしまいます。



ポイント④ワイングラスは縦割りが取り出しやすい


お酒が好きな人、またホームパーティーを開く家には、シャンパングラス、赤ワイングラス、白ワイングラスなど、さまざまなタイプのグラスが増えてしまうもの。収納スペースを取るワイングラスは、使用用途により縦割りに並べると、飲むものによってすぐに取り出せるようになります。

左から、シャンパングラス列、赤ワイングラス列、白ワイングラス列、ウイスキーグラス列、カクテルグラス列など。お酒好きだとなかなか手放せないグラスたち……。



ポイント⑤種類の違う食器はできるだけ重ねない


違うアイテムを重ねてしまうと、どうしても上の食器を一度持ってから、下の食器を取り出すという動作が必要になってしまいます。可動式収納棚など自分で棚を増やせるタイプの収納棚は、アイテムによって細かく棚を作った方が使いやすさはUP。棚板はホームセンターなどで用意もできるので、アイテムに合わせて食器棚を改造するのもおすすめです。またデッシュラックは横型、縦型とあるので、「スペースがあるけど棚板がつけられない」という場所にぴったりです。

上段の「たまに使うゾーン。ワンアイテム、ワンスペースにできると、取り出しやすく見た目にもすっきりとした印象に。
キッチン雑貨で人気のtowerのディッシュラック。横型、縦型とあるので、収納スペースに合わせて使い分けて。



ポイント⑥並べるスペースがない場合は、まとめてケース収納


お客さま用のティーカップ、取り皿など、普段は使わないけどセットで用意しておきたい食器は、カゴや小物入れなどの容器でまとめて収納すると、省スペース且つ一度で取り出せて便利。上に布巾をかけておくと、埃もたまらずに清潔に保てます。使用している容器はiKEAのVARIERAボックス。清潔感のある白なので、キッチンには最適。

お客さんが来た時はケースごと持ち運ぶと楽ちん。


ごちゃごちゃになりやすいキッチンも、配置ひとつで使いやすく、見た目もすっきり。掃除がてら、収納も見直すことでキッチンは心地よく、料理も楽しくなるかもしれません。

取材・文/松田祐子
構成/朏亜希子

 

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