こんにちは!
今回は、ニューヨーク一人旅から一転、来月に予定している年一回の母とのヨーロッパ旅行についてお話しようと思います。
今年はイタリアとクロアチア、2つの国に行くことにしました。今回は、妹(←のんびり屋)も一緒の旅なので、きっとそれなりのナビをしてくれるだろうと小さな期待をしつつ、電車もバスも使わず、全行程クルマで回ることにしました。

こちらは以前、イタリア、トスカーナを旅したときの写真です。古い街、ピエンツァから眺めたオルチャ渓谷。

拠点とする場所は2つ。クロアチアでは、有名なザグレブやドブロブニクではなく、イタリアに近いイストラ半島の中央部にある小さな街、モトブンです。そしてイタリアでは、最東端の街、トリエステにしました。この2つの街、国境を超えるとはいえ60キロくらいで、クルマで1時間半もかかりません。

モトブンという名は「丘の上の街」という意味だそうで、その言葉のとおり標高270メートルの丘の上に位置する、人口1000人くらいの小さな街です。丘の傾斜面の裾からワイン畑が広がり、名産はトリュフ。そして、私たちが大好きな中世の街並みがそのまま残されています。9月から11月はまさにトリュフの収穫期で日曜日にはトリュフ祭りも開かれているそう! 採れたてのトリュフが食べられるんですって。ワインにトリュフに、中世からの古い街並み。私たちの大好きが3拍子揃った、まさに最高の街といえましょう! そのモトブンから、アドリア海方面にもドライブして小さな漁村などを訪れ、美味しい海の幸も堪能しようと思っています。

オルチャ渓谷にある、世界遺産に登録されている村、ピエンツァ。時のローマ法王が「理想の街」として作らせた街です。

そして、もう一つの拠点、トリエステ。こちらが今回の旅のメインです。母がとても好きな作家、須賀敦子さんの『トリエステの坂道』というエッセイ集がきっかけです。この地を訪れることは、母の長年にわたるたっての希望ではあったものの、なかなか行く気持ちになれませんでした。なぜなら、日本からだと何とも行きにくいのです。いつも使っているJALだと、2回は乗り換えをしなければならず、私たちの「15時間以内で行く」という決まりを大幅に超えてしまいます。

母も今年が70代最後の年となり、来年の旅行時はもう80歳です。今後もまだまだ元気ではいられるでしょうが、行くだけで時間がかかるところはその疲れが後の旅程にも響くため難しいと思っています。だからまだ身も心も元気なうちに思い切ってトリエステに行こうと決心した次第です。とはいえ、今回はいつもよりゆとりを持って1泊多くしました。そして、いつものJALではなく、ローマまで直行便のあるアリタリア航空を利用。夕方、ローマに着いたら空港に直結したホテルに1泊し、ゆっくり休んでから次の日にトリエステに向かえば、まあなんとか行けるのではないかと思っています。

シエナでは有名なお祭り、パリオに向けてのパレードが行われていました。思いがけず出くわすことができて本当にラッキー!

トリエステでは、行こうと決めた場所は今のところまだ一つだけ「カフェ・トリネーゼ」という、『トリエステの坂道』で須賀さんが訪れ、いろいろと考えを巡らせた古い歴史のあるカフェです。それ以外へは、ホテルの人に聞いたりして、その時々の気分や体調で気ままに決めたいと思っています。

それにしても、なぜ母はこんなに須賀さんが好きなのでしょう。私が感じる須賀敦子さんの文章は一言で言うと「静謐」。それに対して、「お母さん、それ大好き」「それ大嫌い」とのたまう我が母。「静謐」とは程遠い人のような気が……(苦笑)。人は自分にないものを他人に求めるというセオリーに則っているのでしょうか。その理由も、トリエステに行けば少しはわかるかも……という期待をほんのちょっぴり持ちつつ、行って参りまーす。

ウンブリアの小さな街スペッロで食べた、本場のブルスケッタ。とてもシンプルだったけれどこれまで食べたことがないくらい美味しかった。新鮮な野菜に美味しいオリーブオイルと塩。それで十分なんでしょうね。

今回で番外編は最後となります。みなさん、毎回読んでいただき、そして温かいコメントも沢山いただきありがとうございました。私も再びニューヨークを旅しているような気持になってとっても楽しかったです。
イタリア旅行から帰ってきたらまたお会いしましょう!

 

『母とヨーロッパへ行く 母+娘=100歳~の旅』

太田篤子 著 11月22日発売 講談社刊 144ページ 1400円(税別)

持って行ってよかったおすすめの持ちもの、ホテルの検索の方法、ホテルへ直接予約するときのメール例なども載っています。楽しく安全な母娘旅のためにお役立てくださいませ。

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