ホテルのある17世紀にできた広場には、古い教会、商店を兼ねた郵便局などがあり、20mほど下ると、裾に広がる緑の丘やブドウ畑を見下ろしながら食事が出来る、道幅の広い場所を利用したレストランがあります。使い古された表現で申し訳ありませんが、言わずにはいられない。まさに「天空のレストラン」!です。こんな場所があるのか、というほど感動モノでした。

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こちらがモトブンのレストラン。下界を見下ろす眺めがとにかく素晴らしく、「天空」としか言いようがありませんでした。
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眼下の眺めを写真に納める母。今回の旅は風光明媚なところばかりで、母はいつにもまして撮影に励んでいました。

まずはホテルに荷物を置いて、昨夜の不快な気持ちを挽回するかのように、早速ビールで「かんぱ~い」としたのは言うまでもなく。朝には早起きをしてホテルの裏側に続く城壁を散歩しました。連なる赤い屋根屋根にはうっすらと白い霧がたなびき、その風景と空気のあまりの清々しさに、何度もお腹のそこまで深く深呼吸をしました。
本当に小さな町なので、レストランへ歩いて3分、トリュフ屋さんへ2分、お土産物屋さんに5分と、すべてがコンパクト。坂道は気を付けなければいけませんが、高齢者にもとっても良いところでした。

 


さて、次は、いよいよこの旅行のメインイベントのトリエステ。
こちらで選んだのは、「サボイア・エクセルシオール・パレス・トリエステ」。部屋からの景色、インテリアのセンス、スタッフの様子、リーズナルな価格と何拍子もそろった、私のホテル人生3本の指に入るホテルでした!

私たちが泊まった部屋は、コネクティングルーム。キングサイズのベッドとソファスペースがある部屋と、ツインベッドがある部屋が、1畳ほどの玄関のようなスペースを挟んでつながっています。バルコニーの眼下にはトリエステ湾が広がり、ピンク色の雲を連れてアドリア海に沈む夕日を見ながらワインを傾けたり、ただのんびりとソファスペースで読書したり、またある晩にはお惣菜や地元ワインを買ってきてパジャマ(バスローブ?)パーティーをしたり……何度「最高だね!」と言い合ったことでしょう。それなのに、こちらのホテルの宿泊料はこれでこの価格?! というくらいに良心的。パリやロンドンなど大都会の3分の1くらいです。私たちの価値観では断然、こちらのほうが満足度が高いものでした。

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ホテルのバルコニーから見下ろすトリエステ湾。ちょうど世界最大のヨットレースが開かれていました。この大型帆船が見えた時は本当にびっくり。

最終日の朝、チェックアウトしながら、フロントの男性に感謝の気持ちを伝えるべく、数年習っていたイタリア語で思い切って「スプレンディド!」だの「ファンタスティコ!」だのと絶賛の言葉をスタッフ投げかけていたら、ちょっと待ってと、奥のほうから、三つ折りのショップカードのようなものをにこにこと嬉しそうに持って来ました。「よかったら、こちらのスターホテルズの会員になりませんか? ネット登録できるのでぜひ!」。あら、こちらのホテルもホテルチェーンのひとつだったんだ。このホテルチェーンだったらぜひ会員になろう。

そして、それがその後に起こるトラブルの大きな「心の支え」になってくれたのでした。次はその、私の旅行人生最大の(大げさ?)トラブルについてお話しますね!
ではまた、来週!

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『母とヨーロッパへ行く 母+娘=100歳~の旅』

太田篤子 著 講談社刊 144ページ 1400円(税別)

持って行ってよかったおすすめの持ちもの、ホテルの検索の方法、ホテルへ直接予約するときのメール例なども載っています。楽しく安全な母娘旅のためにお役立てくださいませ。

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第2回「今こそヨーロッパの田舎へ」はこちら>>
第3回「ホテル選びに最大限の情熱を!」はこちら>>
第4回「眺めのいい部屋でシャンパンを」はこちら>>
第5回「私がホテルに求めるもの」はこちら>>
第6回「母にとって、楽しかった旅の条件とは」はこちら>>
第7回「母との旅の食事問題」はこちら>>
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第9回「旅のファッションについて②」はこちら>>
第10回「旅のファッションについて③」はこちら>>
第11回「旅の交通手段について①」はこちら>>
第12回「旅の交通手段について②」はこちら>>
第13回「旅の交通手段について③」はこちら>>
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第15回「母との旅でいちばん大切なこと」はこちら>>
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