スタイリングディレクター大草直子著『飽きる勇気〜好きな2割にフォーカスする生き方』より、「変化を恐れず自分軸で生きるアイデア」を一日ひとつずつご紹介します。

「変わったね」という評価は絶対に気にしない【自分軸で生きる練習】_img0
 

いま、着ているそのファッション、今日はどうしてそのコーディネイトに決めたのでしょうか?――前日から決めておいた、という方もいるかもしれませんが、きっと、ほとんどの人が、今日の天気や予定、気分に合わせて、という答えになるのではないでしょうか?  

 

ファッションが、その日の気分によって変化していくのと同じように、すべての物事はナマモノだと思っています。
だから、一生、同じでい続けることなんてあり得ないし、「変わる」ことは当たり前だと思っています。
特に大人のファッションは、キャリアやライフステージに合わせて変わるべきだと思いますし、私自身、積極的に変える努力をしてきました。  

なかでも、30代の後半、「ドレス」でファッションディレクターとしての肩書を頂いたときには、意識的に毎日着るもの、自分のスタイルというものを変化させていきました。 というのも、「ドレス」はキャリア志向の大人の女性向けの雑誌。
ネーミングからわかるように、取り扱う服や小物もドレッシーな雰囲気のものや、インターナショナルなブランドばかり。ファッションディレクターというポジションを頂いたからには、雑誌にふさわしい装いであるべきだと思いました。
それまでの私は、デニムにシャツやバレエシューズといった、カジュアルなスタイルがほとんど。毎日のワードローブの定番だったデニムを、当時は、あえて封印しました。かわりにインターナショナルブランドのワンピースをワードローブに加え、たくさん着るようにしました。  

すると、SNSやウェブで、「大草さんは変わってしまった……」「フレンドリーな大草さんはいなくなってしまった」、なんて言葉を目にするようになったのです。大草直子=カジュアル――そんなイメージは、それほどまでに、深く根づいていました。
ただ、そんな言葉に、残念な気持ちはしましたが、傷つく必要なんてないな、とも思ったのです。
せっかく頂いたチャンスを無駄にしないため――私は、「ドレス」という雑誌や、ファッションディレクターという肩書に合わせたファッションにシフトしただけのこと。着る服は、ファッション業界で働く私にとって名刺。それを誰かのひと言で覆しても、誰も責任は取ってくれない――。すべては自分で決めたことです。

「変わってはいけない」「変わることが怖い」――もしも、そんなふうに感じているのだとしたら、ちょっと視点を変えてみませんか?  
変わるということは、新陳代謝をしているということ。変わっていくことにアグレッシブでいることは、進化し続けているということに他ならない、そう感じます。  

もちろん、仕事をするうえでも、アイディアや方向性が変わっていくことは当たり前。打ち合わせ後もスタッフには「とはいえ、これも絶対変わるからね」と念押しするほど、私は、変わることは大賛成です! まわりから見れば、「この人、また走る方向が変わったな」なんて、思われているかもしれませんが……(笑)。
 


出典:大草直子著『飽きる勇気〜好きな2割にフォーカスする生き方』(講談社刊)
取材・文/畑中美香


覚えておきたい!
大草直子の「自分軸で生きる方法」

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