スタイリングディレクター大草直子著『飽きる勇気〜好きな2割にフォーカスする生き方』より、「変化を恐れず自分軸で生きるアイデア」を一日ひとつずつご紹介します。

 

3人も子供がいると、子育てについての相談を受けたり、インタビューの依頼を頂くこともたびたびあります。誇れるような子育てなんて、全くもってできていません。でも大切にしていることがあるとすれば、前にも書きましたが、

「子供に選択させる」ということ。

たとえば、毎日の洋服。
これは小さいころから、自分で決めさせてきました。
まだ、小さいうちは、その日の気分で選んでいたような洋服が、小学校に入学するような年齢になると、TPOを意識したファッションを選択するようになってくるもの。
「今夜はイタリアンを食べに出かけるよ」なんて日には、ガールズは、時に私のクローゼットからアイテムを勝手にひっぱり出して、とても彼女たちらしいセレクトのおしゃれをしています。正直、スタイリストの視点では修正したくなることもありますが、おしゃれは彼女たちの個性で文化。口を出さずに認めるようにしています(笑)。

 

学校選びや進路についても、大きな方向を決めるのは子供自身、そういうスタンスです。そのためにも、小さいころから自分で選ぶ機会を取り上げないよう気をつけていました。
いざ、将来や進路を考える時期になったとき、自分で決められない人になって欲しくはないから……。そのとき、親はヒントを与えたり、経験者としてアドバイスするくらいでいいと思っています。
そして、中学3年生までは、イヤだったら勉強はしなくてもいい、成績が悪くてもいい、学校に呼び出されてもいい、好きなことだけやってていい、そう子供たちには伝えています。
というのも、私も夫も仕事をしているため、彼らの勉強を根気強く見てあげることなどできません。小学校から受験させているのもそのためです。ただ、「高校生になったらエンジンかけるよ」とは、繰り返し伝えています。ちょうど中学3年生の長男がそんな年齢。存分に遊んだ後の子供たちは、驚くほどの集中力を持って勉強し始めるのです。

こんなふうに、社会常識や「他の人たちはこうしているから」というレールは眺めるだけにして、小さなことから、子供に選択するチャンスを与えてあげると、自身で考えて、行動していくことができるようになるのだと感じます。そして、そのなかで成功体験を重ねることが、彼らの自信へと繫がっていくのだと。
このことは、大学生の長女が教えてくれました。
長女は、小学校6年間は教科書も通知表もなし! という、自由で自主性を尊重する学校に、小中高と通っていました。当然、高校だって大学受験の対策はありません。ただ、ことあるごとに「自分の好きなことを仕事にしなさい。好きなことでお金を稼ぐにはどうしたらいいかを考えてね」と声をかけるようにしていました。そのためには、どんな学校に行って何を学べばいいのかをリサーチしようね、とも。

フラットな視点を持ち、論理的に物事を考えられるタイプなので、きっと大学受験は、AO入試が合っていそう。実際に、高校生になってからは、日々の勉強のなかで高い評定が取れるようにアドバイスもしていました。
AO入試対策のための塾にも通い、一般入試は受けず、AO入試に絞ることに。しかも、受験したのは3校だけ。親から見ればちょっとユニークな学校であるのと、少しハードルが高いかなという学校でしたが、勉強したい学科があるのはこの3校だけ、と。夫も私も、将来のことを考えて、可能性がもう少し広がるような学校も受験したら? と助言はしましたが、彼女の気持ちは変わりませんでした。
結果、無事に第一志望に合格したときに長女から言われた言葉は、「最後まで信じてくれてありがとう」。いまは学校や、そこでできた友達との関係がとても楽しいようです。
親の目から見ても、明るくなった彼女を見ていると、大学受験の経験は、彼女にとって、確実に自信に繫がったのだと思います。
「自分で目標を決めて成功すること」――そんな体験を後押しすることが、人生を幾分か長く生きている親がしてあげられることなのだ、と感じています。


出典:大草直子著『飽きる勇気〜好きな2割にフォーカスする生き方』(講談社刊)
取材・文/畑中美香


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