スタイリングディレクター大草直子著『飽きる勇気〜好きな2割にフォーカスする生き方』より、「変化を恐れず自分軸で生きるアイデア」を一日ひとつずつご紹介します。

 

「子供は、夫婦の家に間借りしている存在」――そんなふうに捉えています。いずれは親離れしていく彼らを、過剰に心配しすぎたり、ケアしすぎる必要はないと思っています。むしろ、彼らが大人になり、自立できるようにサポートしていくのが親の役割です。だから、家族のピラミッドは明確です。大人が三角形の上にいて、その下が子供たち。
当然、我が家は、夫婦の寝室を家の中でも一番広く取っていますし、大人と子供はバスルームも別。大人用が広いことは言うまでもありません。

 

夫は外国人ということもあり、愛情表現がとても豊か。キスやハグは日常的ですが、お互いに仕事もしています。以前は海外出張なども多かったため、すれ違いも多い夫婦でした。
そこで私たちが決めたルールが、「毎晩同じ時間にベッドに入ること」。もちろん、仕事関係の会食で遅くなったりするときは別ですが、一日が終わる最後の時間を、夫婦水入らずで過ごすのです。日中は子供の話に付き合うばかりですが、この時ばかりはと夫婦のおしゃべりが止まりません。もっぱら、夫がひとりで話して(笑)、私は聞き役ですが……。そうして過ごす時間は、互いに歳を重ねていく楽しみにもなると感じます。
と、こういうお話をすると、後輩の子に聞かれるのが「どうやったら理想の相手と出会えますか?」というパートナー問題。どういう人が好きなのか聞くと、だいたい皆さん、「包容力があって、ユーモアがあって、楽しくて」と答えるのですが、それじゃダメ! 3つの条件を深く狭く考えることが大事です。

ちなみに、私が再婚するときに挙げた3つの条件は、
① 私を女性として見て、愛してくれること
② 仕事を存分にさせてくれること
③ 長女を私と同じように愛してくれること
そして、これ以外のことには目をつむる! 夫は本当にそういう意味では、理想の夫だと思います。
ただし、リラクシングな、ラテンマインドの人なので、日々イラッとすることもお互いにたくさんありますが、3つの条件をクリアできているという意味ではパーフェクト。彼に出会って本当に人生が豊かになりました。

ただ、この先、夫婦から恋人に戻るタイミングが来てもいいかもしれない、とぼんやり考えていたりもします。
子供たちが巣立ったあとは、妻や夫という社会的なフレームから離れて、それぞれが「個」を大切にできたらなと思うのです。親も子も、夫も妻も、自由で、軽やかでいられたらいいなと。
夫や子供たちだって、海外で暮らしたいというタイミングが来るかもしれませんし、私自身も、いずれは数年間、海外で暮らして仕事をしたいなと思っています。ただ、そのとき、夫婦や家族が、必ずしも一緒である必要はないのかな、と……。
それぞれが違う場所に暮らして、アメリカやヨーロッパで待ち合わせする――そんな未来を考えると、ワクワクしませんか。
もちろん、そのまた先の未来には、もう一度、彼と夫婦に戻ることがあってもいい。それくらい、二人が軽やかな関係でい続けられたらと思っています。


出典:大草直子著『飽きる勇気〜好きな2割にフォーカスする生き方』(講談社刊)
取材・文/畑中美香


覚えておきたい!
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