近いのに遠い、駐車場の「思いやりスペース」


障害者手帳とは、身体に障害がある人、知的障害を持つ人、精神疾患を持つ人を対象にした手帳のこと。脳卒中などによる後遺症がある人は、身体障害者(麻痺)または精神障害者(高次脳機能障害)にあたるのが一般的です。

この手帳があると、医療費の助成や所得税、自動車税などの軽減、公共料金の割引サービスが受けられるほか、障害者雇用での就転職活動が可能になります。タクシーを使う機会が増えた私は、運賃の10%割引などがとても魅力的に思えます……!

1月のある日、買い物メモを右手で書く。左手よりうまいものの、遅いしすぐ疲れてしまうのが難点。しかも、これだけ書くと全身が疲労困憊してしまうのだった。

さっそく手帳の等級を調べてみると、該当する「肢体不自由(下肢)」の欄には「1級 両下肢の機能を全廃したもの」「2級 両下肢の機能の著しい障害」などと、かなり厳しい内容。手帳が支給される一番低い6級で「下肢の足関節の機能の著しい障害」とあります。

 


私の場合は、杖をつきながらなら歩けるので、やはり当てはまりそうもありません……。

手もだいたいこんな感じで、たとえば指が欠けていたり、まったく動かなかったりするわけではないので、難しそうです。

でも、箸で食事はできないし、字だって満足に書けないのになあ。何より、スーパーなどに買い物に行ったときに、身障者マークがついた「おもいやりスペース」に駐車できないのが痛手です。自由に動く左手で杖をついていては、右手で荷物をもつこともできません。入口近くに停められたら、すごく助かるのになあ(悲)。

リハビリ病院のケアマネージャー、今通っている病院のリハビリの担当者、さらには急性期病院の担当ドクターにも聞いてみたところ、みなさん一様に「取れても一番低い、手帳は支給されない7級でしょう」との返事。

うう。こうなったら、優遇されなくても大丈夫なくらい、回復しなければ!

「そこまで回復して、よかったじゃないですか」と担当ドクターににっこり笑われ、なんとも複雑な気持ちになった私なのでした。


>>次回は、倒れて1年! 今の身体や生活についてです。
 


文/萩原はるな
写真/萩原はるな、Shutterstock
構成/宮島麻衣

 

 

連載第1回 48歳2児の母、突然脳卒中で倒れた日「右手右脚が動かない」>>

連載第2回 脳卒中で倒れた48歳女性のリアル入院生活「仕事、家族は?思い当たる原因は?」>>

連載第3回 脳卒中の涙のリハビリ...回復に役立った意外な趣味【48歳ワーママ闘病記】>>

連載第4回 脳卒中で倒れた母の心配は「育児をしない夫」。2週間の不在、子供はどうなった?>>

連載第5回 トイレも一人で行けない...脳卒中のリハビリ開始!医師から言われた衝撃の一言>>

連載第6回 ひたすらお手玉落とし、暗算...地味でつらい脳卒中のリハビリ時間割【48歳ワーママ闘病記】>>

連載第7回 脳卒中リハビリ入院中の一番の楽しみはお風呂!意外な身のまわり事情>>

連載第8回 食い意地は最高のリハビリ!不器用な左手でも食べたい病院食メニュー 【48歳ワーママ脳卒中闘病記】>>

連載第9回 長いリハビリ入院生活、大切なのは患者同士の人間関係【48歳ワーママ脳卒中闘病記】>>

連載第10回 突然の訃報も...ワンオペ母の長期入院、残された家族の生活は?【48歳・脳卒中闘病記】>>

連載第11回 ​利き手を使わず料理、運転、パソコン...退院に向けた最後のリハビリ【48歳・脳卒中闘病記】>>

連載第12回 ​不安ながら退院...帰宅前に病室からポチったアイテム【48歳ワーママ脳卒中闘病記】>>

連載第13回 脳卒中で倒れた48歳ワーママが退院し帰宅。大好きな料理も「おにぎり3つ握るだけで30分かかる」>>

連載第14回 脳卒中退院後のお仕事事情。フリーランス、仕事はあるのか?できるのか!?>>

連載第15回 脳卒中で倒れた母と小6娘の中学受験、合格率30%からの結果は?>>