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『夫のHがイヤだった。』夫婦でこの本を読めますか?【試し読み付き書籍紹介】

今回は、夫婦やパートナーとのセックスのあり方について振り返ってみたくなる1冊の本をご紹介します。

 

『夫のHがイヤだった。』(Mio著/亜紀書房刊)

 

きわめて直球、かつ衝撃的なタイトルの本書は、著者であるミオさんが、15年間の結婚生活におけるセックスとセックスレスの軌跡を綴ったドキュメント。アメブロで公開された人気ブログを書籍化したもので、ブログには現在も、その内容に共感し体験をシェアしたいという読者からの投稿が続いています。

ミオさんは夫を心から愛していたにもかかわらず、その性生活は、結婚当初から肉体的・精神的に大きな苦痛を伴うものでした。

「愛しているのに、気持ちよくなれない」

この事実が、ミオさんをいっそう苦しめます。

「セックスさえできれば、夫は機嫌がよく、私たちは幸せでいられるのに…」

夫を気持ちよく受け入れられない彼女は、「私の体がおかしいんだ」と自分を責め、ついにはストレスから摂食障害やうつ病を引き起こしてしまいます。

本書の感想を率直に言えば、序盤は、ひとりで悶々と悩み続けるミオさんとその苦しみにまるで気づかない夫とのすれ違い振りに腹立たしいやら焦れったいやら、何度も苦い思いが込み上げてきました。ただ、読み進めていくうちに、このハードな夫婦の物語には、実は、夫婦やカップルのセックスにおける普遍的な問題がいくつも含まれているように思えてきたのです。

 

たとえば、セックスの場面で相手に正直な気持ちを伝える難しさ、また「性の自己決定権」や「性的同意」に対する意識の低さは、程度の差こそあれ、多くの夫婦やカップル、とりわけ女性側が悩まされがちな問題ではないでしょうか。各章末には、以前ミモレにもご登場いただいた産婦人科医の宋美玄先生が、女性に多いセックスの悩みについてアドバイスする実用的なコラムも掲載されています。もしも今、夫やパートナーとのセックスに違和感を抱いているのであれば、本書のなかに自分と共通する問題点や改善のヒントを見つけられるかもしれません。

気になるキーセンテンスとともに、3週に渡り、試し読み付きでご紹介します。


私たちは、セックスを学ぶことなく大人になった


ミオさんが夫とつき合い始めたのは、大学時代。セックスに関しては、夫にとってはミオさんが初めての相手で、ミオさんも性経験は豊富ではありませんでした。卒業してすぐに結婚したふたりは、セックスの面では拙い者同士だったと言えるかもしれません。もちろん、その拙さは本来、相手の意思を尊重し、思いやるコミュニケーションによって補われていくはず。しかし彼女の夫は、気持ちという目に見えないものに想像力を働かせられる人ではありませんでした。

夫のセックスは、ミオさんの身体をおざなりに触り、飽きるとすぐに「舐めて」と要求してくる自分本位なもの。日常的になっていったこの習慣に、彼女はなぜ「NO」と言えなかったのでしょうか。

「私には、おかしいと思う知識もなければ、彼をリードして気持ちのいいセックスをするテクニックもなかった。したくないときはきっぱり断っていいと、誰もおしえてくれなかった」(P21より抜粋)

みなさんは、「性の自己決定権」という言葉をご存知ですか? それはセックスに限った話ではありませんが、文字通り「自分の性について自らの意思で選べる権利」であり、性の健康の世界的なガイドラインである「性の権利宣言」のなかで唱えられている重要な概念です。これに沿って考えるなら、「セックスを、いつ、誰と、どのようにしたいか」はひとりひとりが自由に決められることで、たとえ夫婦間であっても、単に気分が乗らないという理由だったとしても、どちらかが一方的に我慢して行わなければならないことはないのです。

ミオさんが、夫とのセックスのなかで「痛い」とも「イヤ」とも言うことができなかったのは、充分な性教育がなく、社会における性のタブー感が根強い日本の現状と無関係ではないでしょう。私たちは、性やセックスについて正しく学ぶことなく大人になってしまいました。でもだからこそ、豊かな性生活を実現するためには、まずそれを自覚して能動的に情報を取りに行くこと、そして何より、パートナーと具体的に話し合っていくことが大切なのだと思います。
 

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Mio
大阪府生まれ。大学で知り合った同級生の男性と22歳で結婚。夫との夫婦生活が苦痛で、自分はセックスができない身体なのではないかと悩み、摂食障害とうつ病に。その後、セックスレスを理由に夫から離婚調停を申し立てられ、別居を経て離婚。2017年の冬からアメブロに当時を振り返る手記を連載し、大きな話題を集める。現在は、税理士・行政書士・カウンセラーとして、女性起業家のサポート・離婚業務を中心に活動している。

文/村上治子

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