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男性がセックスを断る理由「母親に思えて無理」の 裏の本音

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セックスを避けられるようになって、もう愛されていないのかもしれない……40代の性は体と心の問題が絡みあって、若い頃より悩みが深いことも多いのではないでしょうか?そんな悩みに解決の糸口はあるのか、30年以上のキャリアをもつセックス・セラピストで臨床心理士の金子和子先生に聞いてみました。


男性としてのモチベーションを上げることで男性機能も発揮


セックスレスは女性側が拒否することで生じるばかりではなく、女性からのセックスの要求を男性が断って起こるケースもあります。そこにはどんな理由があるのでしょうか。
よく聞くのは、「もう身内だからその気になれないんだよね」「女というよりも母親に思えてしまう……」という理由です。実際、異性というよりも「家族の一員」という意識が強くなり、妻のことを異性として見られなくなる、という夫はまったくいないわけではないでしょう。
しかし、その言葉に乗じている男性が、かなりの数いるのではないかとわたしは思います。カウンセリングを重ねていると、その裏側に「男としてドキドキさせてほしい」という本音があることが分かるからです。

 

「新しい刺激が欲しい」というのは、人間なら自然なことです。結婚して子どもが生まれてからは、妻を誘っても「疲れているから」と拒否されることが増えてきて、そのうち「夫婦なんてそんなもの」と気後れして、だんだん誘えなくなった……という男性は少なくないでしょう。
「刺激」というのは、妻が女性らしさを保つことも当然ながら含みますが、そうしたセクシュアルなものばかりではないことを、ここでは特に強調したいと思います。つまり、「男性として求められている」「男性として扱われている」ということが、男性の自信となり、男性らしさを保つ刺激になっているということです。
女性が「いつまでも女として扱ってほしい」「きれいだと言われるときれいになれる」と求める気持ちと変わりません。妻から「男性」として接してもらえないと、当たり前ですが「男性としての機能」を発揮するモチベーションも落ちてしまうということです。

加えて働き盛りの忙しい時期になれば、妻や子どもたちとのコミュニケーションも減り、たまに家にいるときには邪険にされたりするケースも。家庭内での居心地が悪くなってくると、男性はリラックスができなくなってきます。
精神的にリラックスをしていないと、男性は精神的にも機能的にもセックスをする意欲が湧いてこないため、セックスレスに……というケースもよく見られます。
男性として扱われていない。家庭内でリラックスできる時間も場所もない。主にこの2点が、男性がセックスを拒否する二大要因となっているのですが、男性自身がこのことにはっきりと気が付いておらず、先に述べたような「妻が母親に思えて無理」という言葉にすり替わっていることが非常に多いといえます。

処方箋は「男性らしく扱う」+「リラックス」


夫から拒まれているという妻は、一度自分自身を振り返ってみるのが、セックスレスを解決する良いきっかけになるかもしれません。「わたしは出会ったころのような見た目を保つ努力をしているだろうか」「付き合い始めのように優しく笑いかけているだろうか」そう自問自答をしてみるのもよいでしょう。
「どうせ若い子にはかなわないから無駄」と思うかもしれません。しかし、繰り返しますが、ただ性欲を満たすだけが夫婦間のセックスではありません。いつまでも相手を大切に思い合う関係が、セックスのベースです。

金子和子

臨床心理士。日本性科学会理事、同会認定セックス・セラピスト。日本赤十字社医療センターで30年以上セックス・セラピストとして勤務。現在は、日本生科学会カウンセリング室、主婦会館クリニックでカウンセリングを行う。共著として『セックス・セラピー入門』(金原出版)。『こころとからだの性科学』(星話書店)がある。

 

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『中高年のための性生活の知恵』

日本性科学会セクシュアリティ研究会 著 アチーブメント出版 

なぜ自分は拒否されるのか? なぜ求める気持ちになれないのか? 性のスペシャリスト6名が現場で得た知見、そして中高年男女2590人のアンケートからわかった現代日本の性の真実のすべてをまとめた一冊。寂しさとは無縁の第2の新婚期を迎えるために読むべき大人の性教育書。


構成/國見香、片岡千晶(編集部)


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