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『夫のHがイヤだった。』セックスは「夫婦の条件」なのか?【試し読み付き書籍紹介】

夫婦の性生活に苦悩した15年間の軌跡を綴った注目のエッセイ『夫のHがイヤだった。』

「愛しているのに気持ちよくなれない」と悩み続けるミオさんと、「夫婦ならセックスするのは当然」と迫ってくる夫。そんな夫婦生活を続けていった結果、ミオさんは心身ともにバランスを崩し、夫婦関係も修復不可能な状態へと向かっていってしまいます。軽やかなタイトルとは裏腹に、その内容は深刻で壮絶。ただ、一見、非常にハードに思われるこの夫婦の物語には、夫婦やカップルのセックスにおける普遍的な問題が含まれているようにも感じられるのです。

パートナーとのセックスのあり方について、あらためて振り返ってみたくなる1冊。今回も、試し読み付きでご紹介します。


夫婦のセックスレスは、改善すべきこと?

 

ミオさんは、セックスのたびに身体を引き裂かれるような激痛を感じながらも、しないと夫が露骨に不機嫌になるため夫との性生活を拒むことができませんでした。

 

そして、結婚5年目にして女の子を出産。早いうちから「家族が欲しい」と切望していた夫は予想通り子煩悩な父親となり、ミオさんにとっても「この幸せがずっと続けばいいのに」と思えるほど満たされた日々が訪れていました。

そんななか、ミオさんの父親が突然、帰らぬ人に。ミオさんは実家を養うべく働き始めますが、夫はそんなミオさんのために実家の近くへと引っ越しを提案。家族の窮地に最大限の協力を惜しまない夫の姿勢に「セックスさえしなければ、本当にいい夫」。彼女はしみじみとそう感じます。

しかしその後、夫婦のパワーバランスが逆転するできごとが発生。夫が大きな借金を背負ってしまったのです。ますます働き詰めになるミオさんでしたが、夫からの夜の誘いを断りやすくなったことは彼女にとって好都合。しかし、セックスをしなくなったふたりの溝は深まっていくばかりでした。

ミオさんは夫からの暴言がきっかけで摂食障害になってしまいますが、病は夫への闘志を燃え上がらせる起爆剤となったよう。堪忍袋の緒が切れた彼女は、ついに「私、もう性欲がないみたい。実は前からセックスが好きじゃなかったの」とメールを送信。夫から即座に戻ってきた返信は、「セックスがないならただの同居人じゃん」という冷たいものでした。

夫の結婚生活には、セックスが欠かせない。
それなしで一緒に暮らすことに、なんの意味が? という考えの持ち主。
セックスがなければ夫婦でも家族でもなくなる……本当に?(P96より抜粋)

セックスがあることは、夫婦であるための条件でしょうか?

厚生労働省が2018年に実施した最新の家庭動向調査によれば、「夫婦間の性交渉がない」と答えた人は、約75%。妻の年齢別に見ると40代で約67%、50代で約79%、60代では約89%もの夫婦がセックスレスという結果が出ています。

セックスが夫婦の条件であるならば、大半の夫婦がすでに「破綻している」ことになってしまいますが、夫婦生活には性生活以外に多様なコミュニケーションの場面があり、一緒に食事をしたり、買い物や旅行に出掛けたり、子育て中ならば協力して子どもの世話をすることも絆を深める行為のひとつと捉えられるでしょう。セックスは、夫婦でいるための条件とは言えないはずです。

一方で、アメリカの大学で行われた「セックスの頻度と幸福度」に関する調査では、「一定の頻度でセックスを続けると、パートナーとの関係性が良好になり、幸福度が上がる」という調査結果が出ているそう。

とはいえ、これはもちろん“どんなセックス”でもいいわけではなく、その内容が大切であることは明らか。女性はセックスに精神的な満足感を求める傾向があり、「大事にされている」「女性として見られている」と感じられることがセックスのモチベーションとして欠かせないでしょう。

逆に言えば、日常生活のなかで、お互いの考えを尊重し合う、気遣いを表現する、感動を分かち合うといった愛情に基づくコミュニケーションがあり、同じベッドで休んだり、ソファに並んで語り合ったりというような肌のぬくもりを伝え合う自然なスキンシップがあれば、必ずしもセックスという手段は必要ではないのかもしれません。夫婦におけるセックスの重要性について、みなさんはどう思われますか?
 

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Mio
大阪府生まれ。大学で知り合った同級生の男性と22歳で結婚。夫との夫婦生活が苦痛で、自分はセックスができない身体なのではないかと悩み、摂食障害とうつ病に。その後、セックスレスを理由に夫から離婚調停を申し立てられ、別居を経て離婚。2017年の冬からアメブロに当時を振り返る手記を連載し、大きな話題を集める。現在は、税理士・行政書士・カウンセラーとして、女性起業家のサポート・離婚業務を中心に活動している。

 

『夫のHがイヤだった。』(Mio著/亜紀書房刊)

文/村上治子

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