スタイリングディレクター大草直子著『飽きる勇気〜好きな2割にフォーカスする生き方』より、「変化を恐れず自分軸で生きるアイデア」を一日ひとつずつご紹介します。

 

「ミモレ」で編集長をしていたころ、代理店や広告部の皆さんからよく言われたのが、
「大草さんが出ると売れるんです!」。
イベントなどに私を引っ張り出すために言ってくれていたのかもしれませんが、売れなければ意味がない。そして、ウィンウィンウィンでないと――とも。まずは買ったお客様に喜んで頂きブランドにもハッピーになってもらい、結果、自分の仕事も成功する。対価を頂いている以上、それは当たり前のことだと思っています。
また、イベントをご一緒するアパレルの販売員さんや、編集部員からたびたび聞かれることがあります。
「どうしたら、お客様(読者)に欲しいと思ってもらえるのでしょう?」って。

 

しつこいほどに言いますが、私の役割は、洋服と女性たちの気持ちを繫ぐトランスレーターです。
だから、言葉はとても大切にしています。
何を言うのか、どんな言葉を使うのかはもちろんですが、文章を書くときには、漢字にするのかカタカナにするのか、それとも英語を使うのか、句読点はどこに打つのか……。そんなところまで仔細に考えているのです。実は。
特に、洋服やアイテムの魅力をお伝えするときには、その商品を手にしたあと、家に持ち帰ったあと、実際に着るときのストーリーをしっかりお伝えしたいな、と思っています。

例えば、トマトのような色鮮やかなスカートがあるとしたら……、
「天気の悪い日でも、鮮やかな赤色は、はくだけで、
気分がほんのちょっぴり前向きになりますよね。
少し光沢がある素材だから、
夏ならカジュアルなロゴTシャツを合わせたり、
秋冬ならカシミアの上質なニットにもよく似合います。
上からライダースジャケットを合わせるのも素敵ですよね」というように。
手に取ってもらったものが、この先、その人の人生をどう彩るか、数歩先の未来をお伝えするのが私の仕事だから。
素材や色、形などについて語るのは、ディスクライブ=描写でしかありません。それは、手に取ってタグを見ればわかる説明書き。
私というフィルターを通して、その一枚、一着を手に取った先の「あなたのbeautiful life」を語るのが役目――そういう意味で、私を「言葉の人」と言ってくださる方がいるのかもしれません。

だから、この本を手に取ってくださったあなたにも、ぜひお伝えしたいことがあります。

きっと、この本を最後まで読んで頂けたら、
いまより少し、自分でいることに満足できるはずです。
まだまだ先の長い未来に、ちょっぴりワクワクしてくるかもしれません。
しんどいなと思った時、自分に自信が持てなくなってしまったとき、
夜眠りにつく前に、ぜひ、1ページでもいい、開いてみてください。
そして、繰り返し、繰り返し、呪文のように読んでみてください。
私はわたしのままでいいんだ。
自分で良かった。
自分でいることが心地いい――。
気がついたら、自分を愛しく思えている、
そんな毎日がやってきます。


出典:大草直子著『飽きる勇気〜好きな2割にフォーカスする生き方』(講談社刊)
取材・文/畑中美香


覚えておきたい!
大草直子の「自分軸で生きる方法」

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