むなしい性交が5割…データでみる40、50代の性のリアル【夫婦間レス4つの事情】
3.50代からはキスのない「気乗りしないセックス」に
セックスの中身にも迫った質問項目を見てみましょう。50代になると半数が前戯で唇にキスはしていません。それでも、男性側は乳房や性器へキスや愛撫を行っている、という解答率が高いのですが、性交渉の時間は3割が10分程度(前回記事参照)。性行為への“おざなり感”がデータから浮かび上がります。また、気乗りのしない性交渉をよく/ときどきしている人が男性は2割、女性は4~5割も。
「40代以上の単身者の女性はセックス頻度、満足度も有配偶者の女性より明確に豊かでした。単身者は会う時は、男女として向き合っているので、キスや愛撫が豊かで性交渉の時間も長い。一方、有配偶者は父母の役割があり、『朝早く起きてお弁当を作らなきゃ』『隣の部屋で子どもが受験勉強しているし』などと、セックスに集中できない環境にあることが多いでしょう。だから、妻は『早く終わってよ』となってしまいがち。それでも、気乗りしない性交渉に応じる妻が多いのは、“夫が喜ぶから”が一番の理由でした。加えて、“求められること”が女としての自己肯定感につながっているのかもしれません」(荒木先生)
4.夫婦間の愛情はある、寝室も6~7割が一緒、なのに…
配偶者への愛情の有無を尋ねると、夫から妻への愛情はあり、妻も愛されていると思っていることが分かりました。また、夫婦の寝室は50代までは6~7割が一緒という結果に。愛情はあるのに、セックスレス、それはどうしてでしょうか?
「セックスレスの大きな要因の一つはセックスを挟んでの男女のギャップ。妻にとってセックスが快楽になりきれていない。魅力的なセックスにするためには男性任せではなく、女性も主体的に取り組むことが必要です。男性は女性の心も体もわかっていないので、何をどうしたら気持ちがいいのかちゃんと伝えていきましょう。そして、夫が望むことに対しても叶えてあげるという姿勢を持つこと。旦那さんがダメな時にも、愛撫だけで満足を得られたとメッセージを発して、相手の心を折らないことが大切です。
また、性生活に関して相手に望むことは男女とも『日常的に愛情を示すこと』が最多でした。日常的に愛情を示しているか見直してみましょう。『おかえりなさい』と玄関に迎えに出る。『おつかれさま』という労いの言葉をかける。言葉や行動にしないと、愛情は伝わりません。また、子どもの前でも夫婦が仲良くしている姿を見せていい。スマホやテレビと離れてお風呂に一緒に入るなどもオススメですよ」(荒木先生)
撮影/浜村達也 取材・文/熊本美加
構成/片岡千晶(編集部)
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荒木 乳根子先生
日本性科学会セクシュアリティ研究会代表、田園調布学園大学名誉教授、臨床心理士、公認心理師、日本老年行動科学会常任理事。筑波大学大学院修士課程修了。著書『在宅ケアで出会う高齢者の性』『Q&Aで学ぶ高齢者の性とその対応』『カラダと気持ち』『セックスレス時代の中高年「性」白書 』など。