スタイリングディレクター大草直子著『飽きる勇気〜好きな2割にフォーカスする生き方』より、「変化を恐れず自分軸で生きるアイデア」を一日ひとつずつご紹介します。

 

講談社ミモレ編集長の川良咲子さんから、「大草さんの生き方やキャリアに対しての考え方、その姿勢を本にしたい」と言われたのは、2020年の春。誰もが忘れられない、その年の3月から6月。ほとんどの仕事をリモートにして、「さまざまな人たちによって支えられている日常」に感謝し、その上で存在するべきおしゃれ=私の仕事、人生について深く考えたタイミングでした。こんなに自宅にいたことはなかった、という数ヵ月を過ごし、自分がいまできること、そして、今後するべきことを整理できたように思います。そうして晩秋に、この本が完成する、というタイミング!

 

価値観が大きく変わり、さらに、2020年12月には星の配列がドラスティックに変化します。産業革命以降、220年以上続いた「土の時代」から「風の時代」へ。土から風へ、このキーワードからも読み解けるように、生き方や働き方は、もっともっとフレキシブルに、そしてしなやかになるでしょう。キャリアを新入社員から定年まで積み重ねることだけが正解で安全ではなく、風に乗るように、常に新しい気持ちでスタートし、軽やかに舞い上がっていく――それがコモンセンスになるのだとしたら。

私たちの生き方や働き方は、もっとずっとラクになるはずです。きっと年次やジェンダー、会社員やフリーランスなどのスタイルの違いは、もっともっと多様化し、お互いを認め合うでしょう。もしかしたら、実は私は、このことを22歳で働き始めたころに、気づいたように思います。
そうです。この本のオーダーは、きっとそこが大きなポイントだったのでしょう。私は決してビジネスの勝者ではなく、成功者でもありません。働くことに、他者との勝負は存在せず、あるとしたら、「自分に負けない」ということだけ。そして成功することは重要ですが、「成功者」というタイトルは必要ありません。なんだか楽しそうに、好きなことにフォーカスして働いていること、それができたら一番良いんじゃないか、というシンプルなセオリーなのです。

働いてきた道のりを振り返り、体系化するチャンスをくれた、川良編集長には心から感謝しています。そして、この1冊は、初めて自分で書かず、プロのライターさんに書いて頂きました。かなりの時間、インタビューで独白しました(笑)。時間軸も、そして内容もまちまちで語ったことが、きちんとラインになり、さらに立体的になっている!
プロの仕事はこういうことか、と深く感じ入りました。面白がって話を聞いてくださり、まとめてくださった、ライターの畑中美香さん、そしてシンプルでフレンドリーな装丁をしてくださった杉山健太郎さん、カバーの写真を撮ってくださった目黒智子さんにも、心からありがとうございました、と申し上げたいと思います。

最後になりますが、ファッションを通じて私を知っていた方、もちろん知らなかった方もいらっしゃると思います。このページまで読んでくださり、ありがとうございました。何かあったときに、ぜひ読み返してください。この本が、自分がやってきたことを肯定し、そしてさらに前を向いて歩いていこう、という「勇気」になったら良いな、と思います。


出典:大草直子著『飽きる勇気〜好きな2割にフォーカスする生き方』(講談社刊)
取材・文/畑中美香


覚えておきたい!
大草直子の「自分軸で生きる方法」

▼右にスワイプしてください▼


第1回「変わることはわがままじゃない」>>
第2回「「逃げたっていい」今いる場所がすべてじゃない【自分軸で生きる練習】」>>
第3回「「モヤモヤ」「閉塞感」から逃れたいという感覚は、人生を変えるチャンス【自分軸で生きる練習】」>>
第4回「仕事が私に自信をくれるはず。 だから、就職浪人してでも 編集者になりたかった【自分軸で生きる練習】」>>
第5回「「ヴァンテーヌ」が 教えてくれたこと。 サルサとの出会い【自分軸で生きる練習】」>>
第6回「飽きることは マイナスじゃない。 飽きたことを 続けるのが一番怖い【自分軸で生きる練習】」>>
第7回「キャリアは3つのステージ、3つの視点で考える【自分軸で生きる練習】」>>
第8回「目の前にあることに「虫」の視点で取り組んだ第1ステージ【自分軸で生きる練習】」>>
第9回「第2ステージは「鳥」の視点で視野を広げ経験や知識をシェア【自分軸で生きる練習】」>>
第10回「キャリアを手放す勇気が時に必要に。空いたスペースに運が転がり込む【自分軸で生きる練習】」>>
第11回「「あなたは絶対にフリーランスが向いている」人生を変えたメンターの言葉【自分軸で生きる練習】」>>
第12回「​70代からは「本質的なこと」に心血を注ぐと決めている【自分軸で生きる練習】」>>
第13回「おしゃれは自分を好きでいるための「ツール」になる【自分軸で生きる練習】」>>
第14回「​離婚と再婚が教えてくれたこと。フレームに押し込めて苦しめていたのは 私自身だった【自分軸で生きる練習】」>>
第15回「​​人と比べなくていい。枠にとらわれなければラクに生きられる【自分軸で生きる練習】」>>
第16回「​自分を好きになること、自分軸で考えることを「練習」すればいい【自分軸で生きる練習】」>>
第17回「​​美容やエクササイズは自分を愛して、労るために。時には思い切りレイジーに【自分軸で生きる練習】」>>
第18回「​​「変わったね」という評価は絶対に気にしない【自分軸で生きる練習】」>>
第19回「「離婚する」と報告したとき、母に言われた「拍子抜けする言葉」とは【自分軸で生きる練習】」>>
第20回「​​家族の中心は大人。いつでも夫婦ファーストで【自分軸で生きる練習】」>>
第21回「​​家族の一員である前に まずは自分。家族はあくまで「個」の集まりだから【自分軸で生きる練習】」>>
第22回「​​「子供のために」とは考えない。いつか「子供のせい」になってしまうから【自分軸で生きる練習】」>>
第23回「​​子供は社会からのお預かりもの。一対一でオーダーメイドな子育てを【自分軸で生きる練習】」>>
第24回「子供自身が「楽しい」か。子育てで大事なのは「選択」を経験させること【自分軸で生きる練習】」>>
第25回「8割のことはやらない。好きな2割にフォーカスする【自分軸で生きる練習】」>>
第26回「心の可動域を広げ「詰まり」は自分で開通させる【自分軸で生きる練習】」>>
第27回「買った先の未来に責任を持つ。それがお客様目線、読者目線であるということ【自分軸で生きる練習】」>>
第28回「ビジョンを持ち、逆算して行動する未来への段取り力【自分軸で生きる練習】」>>
第29回「コロナが教えてくれた、おしゃれの尊さと時間は貯金できること【自分軸で生きる練習】」>>
第30回「経験とスキルを言語化し、軽やかなキャリア形成をお手伝いしたい」>>
第31回「時代は「所有」から「シェア」へ。私ができること【自分軸で生きる練習】」>>
第32回「軽やかに生きるとは、よりピュアで本質的な方向になること【自分軸で生きる練習】」>>
第33回「情熱の種はみんなにある。それを芽吹かせる術がわかれば誰もが情熱的な人生に【自分軸で生きる練習】」>>