【デリケートゾーンのケアの常識】お手入れは女性の新生活習慣に
「見ない」「触らない」では、
トラブルに気づけない。
デリケートゾーンケアをしていないと、どのような問題が起こると考えられるのでしょう?
「女性器は形状的に湿気がこもるため、特に高温の季節はどうしてもムレやすくなってしまいます。排泄器官に近いエリアですから、毛があれば排泄物も絡まりやすく汚れが残ってしまいがち。きちんとケアできていないことでまず心配なのは、雑菌の温床となることです。
繁殖した雑菌が膣内に入り込むと、膣炎になったり臭いの原因となったりすることも。若いうちは膣に潤いがあるため菌の侵入を防ぐことができますが、40代後半になり乾燥が始まると、自浄作用も弱まってしまうため、いっそう注意が必要です。
また最近、梅毒という性感染症の急増が話題となっていますが、普段から自分の性器を観察していないと感染症に気づきにくくなるという問題も。梅毒は感染初期に赤い湿疹ができますが、これは放っておくと自然に消えます。
ただしその変化は、治癒ではなく症状が進んだだけ。気づかず放置してしまうことで、いつの間にか悪化していたり、感染を広げてしまったりする恐れがあるのです。
実際にあった別の感染症の例では、『半年前からイボがあり、だんだん大きくなってきてしまった』とおっしゃる患者さんを診察したところ、小陰唇に“ピンポン球×2個”もの大きさの尖圭コンジローマを発見したこともありました。イボなので痛みはありませんが、かなりの違和感はあったはず。日頃からデリケートゾーンを見て、触っていたら、もっと小さいうちに気づけていたでしょう。
日本には、そもそもデリケートゾーンケアをするという教育がありません。むしろ母親から『見ちゃいけない』『触っちゃいけない』と言われて育つため、多くの女性がケアの意識を持たないまま大人になってしまいます。
デリケートゾーンは、ヒダやポケットがたくさんあるところ。おへそだって意識して洗わないとゴミが溜まってしまいますよね。女性器も同じで、お湯でパシャパシャ洗うくらいでは汚れは取りきれません。
まずは、ケアの大切さを意識して、見たり触ったり手で優しく洗うことを当たり前の習慣として捉えることからスタートしていただきたいですね。」
第2回目は、「毎日のケア方法」についてお届けします。
撮影・構成/片岡千晶(編集部)
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喜田直江(きだなおえ)
平成13年、京都府立医科大学卒業後、産婦人科医として多数の分娩・手術症例を経験。平成15年、形成外科医として形成外科の基本から縫合の技術まで幅広く習得。平成18年大手美容外科にて美容外科・美容皮膚科全般を習得。特に婦人科系の美容手術は日本でも優秀の症例数を誇る。平成23年10月、東京・銀座に「なおえビューティクリニック」を開院。日本形成外科学会会員、日本性科学会会員、ビビーブ認定医、ウルトラヴェラ指導医。著書に『女性器コンプレックス 愛する人と交われない女たちの苦悩』(幻冬舎)がある。