【デリケートゾーンのケアの常識】これだけは実践したい4つの基本ポイント
3. 外性器の洗浄は、専用ソープを使用して
「デリケートゾーンの臭いに悩んで来院される患者さんの中には、女性器に垢が溜まってしまっているケースも少なくありません。毎日のことですから、入浴時の洗い方は大切。特に難しいことはありませんが、ガシャガシャとお湯ですすぐだけでなく、撫でるくらいの優しいタッチで隅々まで洗いましょう。
膣内には自浄作用があるので、洗うのは外から見えている外性器だけで充分。なかでも、小陰唇と大陰唇の間のヒダや陰核包皮のポケットの中は、垢が溜まりやすい場所なので、きちんと指をあてて洗って。
その際、アルカリ性のボディソープや石鹸では刺激が強すぎます。膣内のバリアを壊さないようにpH値に配慮したデリケートゾーン専用のソープを使いましょう。専用ソープは、最近では種類が増えて薬局でも気軽に買えるように。通常のソープに比べると高価ですが、少量で済むので意外と長持ちしてくれます。」
4. 40代以降は、顔のスキンケア感覚で保湿もスタート
「40代からは、お風呂上がりに保湿も取り入れて欲しいですね。保湿剤もデリケートゾーン専用のものがおすすめですが、ジェルやミルク、クリームといったテクスチャーはお好みで構いません。顔のスキンケアと同じように、使用感と乾燥度合いで選んでみてください。乾燥がひどい場合は、クリームとオイルを混ぜてみても。
暑い時季はムレるからつけたくないということであれば、無理に保湿しなくても大丈夫。ただ、50代を超えるくらいになると夏でも粉を吹くくらい乾燥してしまうことも。お風呂上がりに見て、触ってチェックしてみるといいでしょう。」
生理中や更年期の不快感は、
プラスαのケアで解消!
毎日のベーシックケア以外にも、生理中や更年期以降に起こりがちなトラブルを軽減するには、以下のようなケア方法がおすすめだそう。
「ムレやすい季節や生理中の外出時、外陰部に不快感を感じる時は、デリケートゾーン用のウェットシートが便利です。外出先のウォシュレットは衛生的に使いたくないという方も案外多いのではないでしょうか? 用を足した後にシートでササッと拭き取れば、すっきり爽快なだけでなく、雑菌の繁殖も防げます。
また、膣内の不快感には、膣に注入できる乳酸ジェルがおすすめ。たとえば、生理の終わりかけやおりものの多い時期に。また、内部を洗浄しながら乳酸を補えるので、更年期以降に膣内の乾燥が始まり自浄作用が落ちてきたと感じられる場合には、定期的に使用してみてもいいかもしれません。使用頻度は乾燥の程度にもよりますが、週に1度くらいから試してみては?」
デリケートゾーンをすこやかに保つには、「正しい洗浄」と「潤いを守ること」が肝心のよう。まるで顔のスキンケアをするように丁寧にお手入れすることは、身体的な健康はもちろん、女性として大切なエリアを整えているという密かな自信ももたらしてくれそうです。
第3回目は、きっと誰もが一度は聞いたことがある「膣トレ」についてお届けします。
取材・文/村上治子
構成/片岡千晶(編集部)
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喜田直江(きだなおえ)
平成13年、京都府立医科大学卒業後、産婦人科医として多数の分娩・手術症例を経験。平成15年、形成外科医として形成外科の基本から縫合の技術まで幅広く習得。平成18年大手美容外科にて美容外科・美容皮膚科全般を習得。特に婦人科系の美容手術は日本でも優秀の症例数を誇る。平成23年10月、東京・銀座に「なおえビューティクリニック」を開院。日本形成外科学会会員、日本性科学会会員、ビビーブ認定医、ウルトラヴェラ指導医。著書に『女性器コンプレックス 愛する人と交われない女たちの苦悩』(幻冬舎)がある。