こんにちは、エディターの昼田です。

シャツ/ロエフ パンツ/アッパーハイツ

実家の断捨離の続きです。

前回までの記事はこちら。
1.断捨離をするきっかけは父の病
2.戸建て断捨離で得た、片づけの教訓

 

80歳になるまで、たいしてモノを手放してこなかった両親。私たち姉妹が使っていた哺乳瓶まであるくらいですから、物持ちのよさに呆れてしまいます。捨てると決意したのはいいけれど年老いた両親は片づけの戦力になるはずがなく、ひとりモノと格闘する私。しまいには両親への怒りが止まらなくなっていました。

 

片付けでヘトヘトになり、倒れ込むようにタクシーで実家から宿泊先のホテルへ。体のあちこちが痛いし、誰かに愚痴の一つも聞いてもらいたい。ふとタクシーの運転手さんに我が家の断捨離話をしたことが、結果、さまざまな気づきをもたらしてくれました。
毎晩出会う運転手さんは違いますが、みなさん大体50~60代の男性。終活をはじめてもいい世代です。「ご両親や、ご自身の断捨離は終わっていますか? 」とつい聞いてしまいました。


初日の運転手さんは、私の状況を聞いてこう言いました。
「お客さん、なんで業者入れんの? そんなめんどくさいこと子供がやらんでいいでしょう。うちの親が死んだ時は、一気に業者入れてやりましたよ。ま、お金はかかりますけどね。」
はっ、そうだった! なんで私は、自らの手でやるという一番面倒な断捨離の道を選んでしまったのだろうか。

「お客さん、それよりやらんといけんことは、金庫を親に買ってあげることよ。この先認知症になってしまったら、何をどこに置いてあるか、本人も分からんようになるんよ。今のうちから、大事なものを一つにまとめておくことを習慣づけた方がいいで。昔の人はな、現金のまま持っていることが多いし、いろんなところに隠すからな。」

なるほど。確かに、両親の重要書類については場所もわからず、全容も把握していなかった。モノを捨てるより、一番大事なことってこれなのかも。残すべきものがわからなければ、業者も入れられないのだから。片づけなんて手放してしまえ。もう業者を入れよう、と姉に相談してみたら、まさかの答え……!

「業者もいいけど、溜め込んだ人が、自分の時間を使って片付けないと学べないのでは?」

断捨離の学び。そうだった、捨てることがゴールじゃない。
1000枚の洋服を捨てた私は、学びなんてものじゃない。きれいになったクローゼットはおまけのようなもので、人生で大事なことに気づけたプレシャスな体験だった。断捨離とは、モノがくれる持ち主への最後のギフトなのだ。何を得るのかは人それぞれ。姉も私同様にモノを捨て、価値観が変わり、余った時間とエネルギーで、やりたいことを次々に叶えていく人生を送っていた。

はたして年老いた両親に、学びは必要なのだろうか。できるなら何かを得て欲しいと思うのは、断捨離を終えたからこその視点。姉の気持ちもわかる。業者が入ってしまえば、断捨離で得られる全てのものを奪ってしまうことになるのだから。

右は、3つ上の姉。理論派で思ったことをバシッというのは、小さい頃から変わらず。

その日の運転手さんは、私たちと同じでした。
「お客さん、私ね、つい1ヶ月前に自分の断捨離をしたところなんですよ。これから冬だっていうのに、冬服が一枚しかないくらい、もうすっからかんですよ。一週間かかりましたけど、やってみてね、なんで自分はあんなにモノを持っていたんかなと思うんです。こんな自分でもモノを捨てられたってことが嬉しくてね。住んでいる家も、なんか広くなった気がするんですよ」。

こんな自分でもできたのだから、やってみたいなと思うことに挑戦できそうな気がするとも話してくれました。

そう、これ。モノを捨てた人は、次のステージにいく。世界が変わるのだ。断捨離ってたかがモノを捨てるだけと思うかもしれないけれど、人生を根こそぎ変えてしまうようなパワフルな行為なのだ。

さて、我が家の断捨離。私にとってのゴールは一体なんだろう? 
 

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