新刊『1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話』も大好評のファッションエディター昼田祥子さんが、「服捨て体験」を通して得た気付きや今気になるトピックについて綴ります。
こんにちは、エディターの昼田です。
本の出版にともない、ラジオ出演が2本。とてもありがたい機会をいただきました。
さて、ラジオ出演のときは事前に放送作家さんとどんな内容をお話しするか、打ち合わせがあります。それをもとに台本や、当日の質問リストをいただいて心の準備をしておきます。
今回は本の大筋に沿ったものですので答えに詰まるようなものはなく、事前に目を通しながら「いけるな〜」なんて思っていたら、一番最後の質問事項にドキッとしました。
え〜! これ、打ち合わせでも全くでなかった話。さすが大阪の朝日放送ラジオ! 著者が煮詰まりそうな質問をぶっ込んできますね(笑)。
さて、私が深く考え込んでしまった質問とは……
最先端の服を着て、持って、雑誌に載せてきた昼田さんは今、「服」はどんな存在だと考えていますか?
服とは何か、改めて考えました。
今の私の答えは、「服とは道具である」。
人生で大切なのは、自分がどうありたくて、どう生きたいのか。何をしているときが幸せで、自分にとっての喜びは何か。自分の人生をいかようにも建てていける「家」に例えるならば、かつての私は、家を建てるための「金槌」を集めることに必死だったわけです。
「いい金槌(服)」を持てば「いい家(人生)」が建つのだと信じ、たくさんの「見栄えのよい高い金槌(服)」があれば他人にすごいと言ってもらえる家が建つと思っていました。
こうして書いてみると分かりますが、「金槌」と「素晴らしい家」の間にはなんの関係もありません。もちろん道具がないと家は建てられませんが、むしろ大事なのは設計図の方。どんな家を建て、どうやったら満足のいく家を手に入れられるか。私とは建築家であり、それを造り上げていく大工であり、住む人でもある。大工は私ひとり。1000本の金槌を使い分けるなんて、選んでいる時間すらもったいないですよね。
はっきり言って、昔のワタシは何をやっていたんだ!? と思うわけですよ。いい金槌を持っていることに酔いしれちゃって、ほっぺたを叩いてやりたいですね(笑)。完全に「自分」の使い道を間違えていました。
今回、読者の方の「服捨て」をサポートしているとき、ある方が
「私は、自分に自信がないから服がないとやっていけないです」
とおっしゃいました。分かる、私もそうでしたよ。1000枚を溜めこんだ根底にあったのは、自分に自信がなかったから。でもね、1000枚買っても自信はつきませんでした。シャネルを着たら自信がつく? 他人に褒められたら自信がつく? インスタでフォロワーが増えれば自信がつく? いやいや結局のところ何を手に入れても、自分の内側が変わらなければずっと自信がないままなのです。外側のものを追いかけるのをやめ、今この瞬間からできることは「私には価値がある」と思うこと。
この連載でたくさんの方と繋がることができ、本を出版することができた2023年。大きく進化した私同様に、クローゼットは20枚と一層ミニマムに、内容もマイルールも刷新。ほらね、いつだってクローゼットと人生は連動していますよ(笑)。
いつもお読みいただきありがとうございます。
素敵な年末をお過ごしくださいね!
<新刊紹介>
『1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話』
著・昼田祥子
¥1540(税込)
講談社
Amazonはこちら
楽天ブックスはこちら
クローゼットに収納術はいりません。
「クローゼット=本当の自分」にできれば、勝手に整うものだから。
ただ、自分の心地よさに従うこと。
本来の自分を生きるという覚悟を決めること。
捨てられずに人生を詰まらせているものに向き合い、手放していけたとき、人生はすごい速さで自分でも思いがけない方向に進んでいきます。
1000枚の服を溜め込んだファッション雑誌編集者の人生を変えた「服捨て」体験と、誰でもできるその方法を伝えます。
文/昼田祥子
構成/出原杏子
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